ニコニコ皆さん、こんにちは。かなちゃんです。全国のどの映画館も臨時休館となり、えーんえーんえーん自宅で映画を楽しむご時世となりましたが、テレビニコニコパソコン皆さんは、最近、どんな映画をご覧になりましたか?私は様々な国の映画を観ていますが、その中でも、ハリウッド映画の次によく観るのが、フランス映画。フランス映画実は、私は、フランス語を全く学んだ事がないにもかかわらず、フランス映画を観る機会が多いんです。フランス語の音の響き、フランス映画にしかないシリアスな大人のストーリー、それとは逆に、フランス映画にしかないコメディーセンスなど、好きな理由はいろいろあります。

 

今回は、私が以前に映画館で観たフランス映画の一つ「オーケストラ・クラス」を取り上げます。アフリカやアジアなどからの移民が多く暮らすフランス・パリ19区を舞台に、バイオリニストとして活躍していた男性が挫折を味わって、小学校の音楽教師となり、クラシック音楽にからっきし興味のない子どもたちを相手に悪戦苦闘しますが、音符爆  笑学校ニコニコルンルンそこへ一人のアフリカ系の少年が新しく加わった事で、自身も、その少年も、他の子どもたちも、皆、成長していきます。何とも典型的な学園ものに感じられるかもしれませんが、実際に観てみると、映像も、音楽も、想像以上に洗練されていて、とても素敵でした。この映画の舞台は小学校ですが、小学生よりも、中学生よりも、高校生よりも、寧ろ、大人に見てほしいです。それでは、あらすじを見ていきましょう。

 

 

アフリカ系やアジア系などの多様な人種の子どもたちが学ぶ、パリ19区のとある小学校では、フランス独自の音楽教育プログラムが取り入れられています。それは、パリにある大規模なコンサートホールで、パリ管弦楽団の本拠地となっているフィルハーモニー・ド・パリによって運営されているもので、普段、音楽に触れる機会の少ない子どもたちが楽器を贈呈され、それを用いて、プロの音楽家から、音楽の技術と素晴らしさを学ぶのです。

 

ある日、その小学校に、バイオリニストのシモン(カド・メラッド)が音楽教育プログラムの講師として赴任します。シモンは、気難しい性格が災いしているのか、公私共に、上手くいっていませんでした。仕事では、一人の音楽家として行き詰まり、子どもが苦手であるにもかかわらず、このプログラムに携わらなければならなくなりました。また、プライベートでは、妻と別れ、一人娘とも疎遠になっていました。

 

そんなシモンが担当する事になったのは、ブラヒミ(サミール・ゲスミ)が担任を務める6年生のクラスの子どもたちでした。子どもたちの最終目標は、1年後に、フィルハーモニー・ド・パリで、子どもたちと一緒に演奏会を開き、「シェエラザード」を演奏するでした。しかし、シモンは、授業の初日に、教室で大きな衝撃を受ける事になります。なんと、子どもたちは、これまで楽器に触れた事もなければ、クラシック音楽の知識も皆無に等しかったのです。授業中は、勝手にバイオリンの弓を使って、フェンシングごっこをしたり、大声で騒いでばかりいて、シモンの話に耳を傾けようとする子どもはほとんどいませんでした。バイオリンの演奏技術には自信があったシモンでしたが、たちまち自信を喪失してしまいます。授業が終わった後、シモンは、ブラヒミに「大丈夫か?」と、声を掛けられます。シモンは、ブラヒミにこう答えました。「(子どもたちは)30秒も集中できない。ほとんど楽器にも触れた事がない。なのに、どうやって、教えるんだ?」しかし、ある日、シモンが、子どもたちの前でバイオリンの模範演奏をすると、子どもたちはまるで別人のようにシーンと静まり返り、真剣な眼差しで、美しく、澄んだ音色に耳を傾けます。子どもたちは、ようやく音楽の魅力に気付いたのです。

 

ある日、学校の休み時間に、一人のアフリカ系の少年が教室に入り、勝手にバイオリンに触ります。そのバイオリンの持ち主である少年は、すぐに彼の様子に気付き、「勝手に触るな!」と、怒鳴ります。この声に反応した他の子どもたちも、このやり取りに加わり、やがて、大喧嘩に発展。シモンとブラヒミが教室に駆けつけ、止めに入った事で、大喧嘩はようやく収まります。

 

バイオリンに触っていたこの少年の名は、アーノルド(アルフレッド・ルネリー)。実は、アーノルドは、以前からシモンが教えるクラスに興味があり、時々、教室の窓の外から、授業の様子を覘いていたのです。ブラヒミが、「このクラスに入りたいのか?」と、アーノルドに尋ねると、アーノルドは、ブラヒミの目をしっかり見つめながら、「はい。」と、返事をします。こうして、アーノルドは、シモンが教えるクラスに入る事になり、学校からバイオリンを借ります。アーノルドは、学校からアパルトマンに帰宅すると、屋上で練習に励みます。屋上での練習は、毎晩続きました。アーノルドの母親(タチアナ・ロホ)は、そんな息子を温かく見守りました。

 

そして、遂に、アーノルドの努力が認められる日が訪れます。ある日、アーノルドが、シモンの授業で「シェエラザード」の練習をしていた時に、みんなの前で演奏する事をシモンに提案されたのです。しかし、アーノルドは、無口で、引っ込み思案な性格。そのため、なかなか一人で演奏する勇気が出ず、クラスメートたちから、嫉妬されたり、「弱虫!」と馬鹿にされたりします。それでも、シモンは、アーノルドにみんなの前に出るよう、促し、アーノルドは、ようやく決心して、演奏を始めます。アーノルドは、シモンの期待通りに、優しく澄んだ音色を響かせ、皆を夢中にさせます。シモンは、アーノルドに天性の才能があるのだと確信し、「シェエラザード」で、ソロのパートを担当させる事にします。

 

しかし、そんな矢先に、あるトラブルが起こります。クラスのガキ大将・サミール(ザカリア・タイエビ・ラザン)が、授業中に暴言を吐き、それを聞いたシモンがカッとなって、突き飛ばしたのです。シモンは、ブラヒミから「子どもに手を上げちゃ、駄目だ。」と、窘められますが、シモンは、「サミールのような子どもは、クラスから排除すべき。」と、正直に意見をぶつけます。そんな時、シモンは、自身と同じバイオリニストである旧友から、オーケストラへの復帰を打診されます。音楽教師としての自信を失いかけているところに、バイオリニストとしてのオファーが舞い込んだシモンに、迷いはありませんでした。しかし、…。

 

この映画の舞台となっている国・フランスには、Déⅿos(デモス)と呼ばれる音楽教育プロジェクトがあります。Déⅿos(デモス)とは、普段、音楽に触れる機会の少ない子どもたちに無料で楽器が贈呈され、プロの音楽家が音楽の技術と素晴らしさを教えるもの。これまで、2000人以上の子どもたちが体験し、約半数の子どもたちがその後も音楽を続けるという成果を上げています。フランスのマクロン大統領は勿論の事、ドイツのメルケル首相も現場を訪問し、大きな話題になっています。

 

この映画は、メガホンを取ったラシド・ハミ監督が、Déⅿosにインスピレーションを得て、描いたもので、フィルハーモニー・ド・パリの全面協力を得ています。製作を担当しているのは、ニコラ・モヴェルネ。「コーラス」(2004年)、「幸せはシャンソニア劇場から」(2008年)と、音楽映画の名作を世に送り出してきた事で知られています。

 

この映画の注目ポイントは、カド・メラッド演じる主人公・シモンと、アルフレッド・ルネリー演じるアーノルドです。シモンは、長きにわたって蓄えてきたバイオリンの知識を子どもたちに授けるのに精一杯だったのが、アーノルドとの出会いがきっかけで、仕事で多忙だった結婚生活ではとても考えられなかった父性に目覚めます。しかし、そんな矢先に、バイオリニストとしての再起のチャンスが訪れます。一方、アーノルドは、内気で孤独だったのが、シモンに才能を見出されたのがきっかけで、オーラが生まれ、とても頼もしい少年に成長します。キラキラオーラといえば、アーノルドが夜にアパルトマンの屋上でバイオリンの練習をするシーンは必見です。たくさんの高層ビルが並ぶ美しい夜景の中で、アーノルドが、1匹の猫の隣で、バイオリンを演奏している様子は、まさに絵になる風景ですよ!猫ルンルン

 

※<(_ _)>この映画の公式サイトの有無を調べましたが、残念ながら、公式サイトは見つかりませんでした。この映画にご興味がある方は、各動画配信サイトで映像を検索していただくか、または、各通販サイトでDVDを検索していただくよう、お願い申し上げます。