福島第一原子力発電所高濃度汚染と日本の原子力研究者の重い言葉 | RE:SUKI

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考えましょう

数日前に、私の考えとして地下水に放射性物質が流入している可能性について書いたのですが、「確認できていない」や「分らない」と伝えていた東京電力がある事実を認めました。「高濃度汚染水」と報道されていますが、ピットと呼ばれる溝にヒビが入り15cmの水が溜まり、水の表面から1Sv/hの放射線量が計測されました。仮に人間がその水に触れた場合、1時間に1シーベルト(1000mSv)の放射線による被曝を受けるということです。1999年の9月のJCO東海村臨界事故では、6~20シーベルトを被曝したとされる作業員2人が亡くなっています。


現在のまでの東電の会見では数日遅れでの情報発表が多かったため、この件についても発表前に分っていた可能性があります。そして、この大きな問題が公表される前に、1つの会見が行われました。日本の原子力研究の中心であった研究者や技術者16人が、東京電力・福島第一原子力発電所での事故に関して国民へ謝罪すると共に、今後の対策を日本として一丸となり対策を行うべきと話したのです。これらの原子力研究先駆者の方々の言葉が、東電になんらかの影響を与えた可能性も考えられます。

「謝って謝れる問題ではないと思うが、失敗した人間として社会に対して問題を解決する方法を考えたかった」

「燃料の一部が溶けて、原子炉圧力容器下部にたまっている。現在の応急的な冷却では、圧力容器の壁を熱で溶かし、突き破ってしまう

「当面の最重要課題は大量の放射能を環境に出さない工夫をしながら、原子炉と燃料プールの使用済燃料を連続冷却すること」「万が一にも水素爆発を起こさない手立てが必要」

「3基の原子炉内に残る燃料は、チェルノブイリ原発事故をはるかに上回る放射能があり、それをすべて封じ込める必要がある」



この様に話したのは、田中俊一・元日本原子力学会長をはじめ、松浦祥次郎・元原子力安全委員長、石野栞(しおり)・東京大名誉教授ら16人。

■原発事故、国内の経験総動員を…専門家らが提言
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110401-OYT1T00801.htm

■内閣府 原子力委員会 田中俊一
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/iin/tanaka.htm
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(画像クリックで拡大)

■松浦祥次郎理事長(元原子力安全委員長)
「何もかもがダメになるといった状況は考えなくてもいいという暗黙の了解があった。隕石(いんせき)の直撃など、何でもかんでも対応できるかと言ったら、それは無理だ」
(「原発の全電源喪失、米は30年前に想定 安全規制に活用」 より)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103300512.html


燃料が溶けて圧力容器を溶かすということは、チェルノブイリを越える被害が想定でき非常に危険な状態であるわけですが、日本国民、いや世界へ謝罪すると共に対策を伝えています。

①冷却機能の復旧へ24時間態勢で作業を行う
②作業員の増員(被曝量を減らすことが最優先)
③放射性物質の拡散を防ぐ
④汚染の影響を評価し避難住民が帰れるまでの手順を示す
⑤経験と技術を持った専門家を結集
⑥国を挙げての事態の収束が重要

日本の原子力研究のTOPが「手に負えない状態」と警告を発するという非常事態ですが、日本政府の「安全・安心と伝える政策」により、これらの研究者が危惧するほど国民には危機感はありません。国民を誤魔化すマスコミの報道に政府の意図が含まれているのは混乱を防ぐために必要なのかもしれませんが、いつものように後から政府を非難する前に、まず現在分っている真実をしっかりと公表することが重要です。

後から後悔しないために、今何ができるのか。
過去の出来事を考えることを忘れてはいけません。

現在発売中の写真週刊誌「FRIDAY」にある記事が掲載されています。2名の作業員が放射線被曝により死亡したJCO東海村臨界事故において、周囲に住んでいて被曝した大泉昭一・恵子夫妻の記事が掲載されています。大泉昭一さんは東関東大震災の発生する1ヶ月前の2011年2月7日に亡くなりました。

「目の前の会社が、午前10時半過ぎに大きな事故を起したようです!」(「FRIDAY」より)

目の前の会社が何をしているか知らなかった大泉昭一さんの働く工場に、いきなりこの様な言葉を発する人物が飛び込んできたそうです。後に分るのですが、この会社はJCOの核燃料加工施設でした。「退避」ということで3km離れた自宅に戻り、被曝線量の簡易測定をするものの「問題ない」との結果。

しかし、翌日から様々な体調不調が2人を襲います。

恵子さんは、翌日からお腹の痛み・激しい下痢・体のだるさ(原爆での被害でも同様の症状あり)・味覚がなくなる・動悸・精神が不安定になり2度の自殺に苦しみ、昭一さんは翌月から手のひらが水ぶくれのようにかぶれ出し、背中までボロボロになりました。

「かゆみと痛みで夜も寝られない」(「FRIDAY」より)

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2010年5月、2人が起こした裁判では「被曝と体調悪化の関係は認められない」として最高裁は棄却しています。それだけ放射能による人体への影響についての認定は難しいようです。(一部のみ引用などしていますので詳細は「FRIDAY」を)

日本の原子力専門家が事故に関して警鐘を鳴らしたわけですが、鳴らしたことにだけに目を向けるのではなく、なぜ警鐘を鳴らしたのかということをしっかり考える必要があると思いました。これから何が起こる可能性があるのか、それが私たちにはとても大切なことなのですから。


■チェルノブイリ原発事故・終わりなき人体汚染 1/4  

(続き)
2/4http://www.youtube.com/watch?v=gFOxGGdzfn8
3/4http://www.youtube.com/watch?v=oHg23DkfZDA
4/4http://www.youtube.com/watch?v=tsE0CqvuifE


真実を明らかに