角田さんの最新刊。

帯に惹かれて購入しました。



角田光代_三月の招待状


ワタクシ現在34才ですからね。



34才になった大学時代の仲間5人(と一部その連れ合い)のお話。

章ごとに視点の主体が変わるので、

ひとつの物事に対するそれぞれの捉え方の違いが面白いです。


うーん、でも、世代感はあんまり関係なかったなー。

っていうか、むしろ、そこはちょっと違和感あり。

流行していたものもちょっと違うし、



あとやっぱり、角田さんの世代までは、バブルのなごりがある世代だからなぁ。

リアル34才からみると、感覚的にちょっと派手な気がする。

私たちの学生時代って、びっくりするくらい地味でこじんまり、だったもの。

バブル期みたいに「学生のカリスマ」みたいな人もいなかったし。

いたっけ?

この本に、元そういうカリスマだった男(作家兼放送作家兼作詞家兼コラムニストみたいな)が登場するのですが、個人的には「そんな時代じゃなかったよ~」って思ってました。



そういえば、読者モデルなんてのも、なかったよねー。

たまにあっても、美容記事の「読者モニター」みたいな。

逆に恥ずかしいぜ、みたいな。



他にも、私たち世代で男女混合グループなのに

会社勤めがひとりしかいないのは不自然だよ、とか思うところもありますが、

学生時代の人間関係にとらわれているという設定に

説得力をもたせるためなんだろうな。



そんなわけで多少の違和感はありながら、

互いの思いのズレであったり、コンプレックスであったり、

この年齢ならではの焦りであったり

そんな描写には結構ぐっとくるものがあり、

やはり角田さんの筆力のなせるワザなんだろうなと思う次第。



ワタシは、非常に傲慢で恐縮なのですが

自分が苦手なひとと敢えて関係を保つ努力をしないんだけど、

もし学生時代の仲間内の恋愛関係が婚姻関係になってたりして

いまも続いていたりしたら、

そんなに人間関係に割り切ったスタンスでいるわけにもいかず、

なんだかんだ抱えつつも、ごちゃごちゃわちゃわちゃやってたのかもしれないなぁ、

この小説みたく。



結果、ぶつくさ言ってる割には、面白かったよー、ってことで。



しかし、角田さんの作品は相変わらず、

表紙は可愛いのに内容がシビアですね。




▽「三月の招待状」角田光代

¥1,470
Amazon.co.jp
友人の風変わりな離婚パーティで顔を合わせた5人の男と女。動揺、苛立ち、虚しさ、自分を取り戻そうとするのだが、揺れるこころが波紋をなげる。それぞれが見つける新たな出発を描いた長編小説。