こないだの直木賞を受賞した作品。


井上荒野_切羽へ


美しい作品だと思います。


舞台となる小さな島の情景、たおやかな方言。

周りになじまない孤高の男と、やさしく自由な夫。

奔放で恋愛濃度の高い女友達と、繊細でストイックな主人公。

なかなか、素敵な構図です。



作者は何かのインタビューで

「恋愛の心の動きを丁寧に書きたかった」と言ってました。

たしかに丁寧です。

何も起きないけれど、男に惹かれる主人公の心の動きはよくわかります。



で。

私が思うこと。

主人公、ワタクシどもと同年代だと思うんだけど、

すんごい、しっとりしちゃってるなぁって。



やっぱり、年配の方がかいた30代女子だから?

彼らが30代の頃は、

三十路女子ってこんなにしっとりしてたのかしら?

それとも、閉鎖的な島に住んでるとそうなるのかしら。

うーん…。

特に最後のほうは、主人公の行動が屈折していて

正直、あんまり理解できなかったです。



でも、

文体や情景描写の美しさを楽しめたから、いっか。






▽「切羽へ」井上 荒野

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夫以外の男に惹かれることはないと思っていた。彼が島にやってくるまでは……。

静かな島で、夫と穏やかで幸福な日々を送るセイの前に、ある日、一人の男が現れる。夫を深く愛していながら、どうしようもなく惹かれてゆくセイ。やがて二人は、これ以上は進めない場所へと向かってゆく。「切羽」とはそれ以上先へは進めない場所のこと。宿命の出会いに揺れる女と男を、緻密な筆に描ききった美しい切なさに満ちた恋愛小説。