図書館シリーズ。



大学時代の友人4人が、

屋久島(Y島、と表記されてるけど明らかに屋久島)を舞台に

過去の「美しい謎」を解こうとする物語。



それぞれの視点で物語は進んでいくので、

それぞれが抱える闇や、

語られなかった思いが明らかになっていくのです。



ドラマチックな小説なんだけど、

冷静に考えたら別にどうってことないっちゃどうってことない話なの(笑)

だって、誰にだってどこにだってあるじゃないですか。

触れてほしくない過去とか、痛々しい恋とか、

知っていてもあえて見ないふりをしてあげる優しさとか。

本当はドラマチックでもなんでもない、現実。

それを少しずつ明らかにして、消化していく旅。

だけど引き込まれるのです。

屋久島という舞台設定のマジック、そして恩田さん技巧。



4人の距離感が好きです。

「知りたい」「謎を解きたい」と思ってはいるけれど、

告白を強要しない。

心にもないことは言わないし、言わせない。

ワタシ自身も、そうありたいとおもいます。

言いたくなったら話してくれればいいし、

ワタシも言いたくなったら聞いてもらおうとおもうし。

友だちにとってミカタでありたいけど、

それがプレッシャーになるのは、いやだなって思う。

…話がずれた。



でもさ、このタイトルの意味がわからないんですよ。

文庫本のあとがきとかに書いてあるのかなぁ?

それってどうなの?っておもうんだけど。



もしかして、この小説とつながりのあるらしい

三月は深き紅の淵を 」にヒントがあるのかな?

近いうちに読んでみなければ。



とはいえ一番の感想。「屋久島いきたい…」でした。

でっかい杉、みたい!



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華麗にして「美しい謎」
恩田陸の全てがつまった最高長編

――目の前に、こんなにも雄大な森がひろがっているというのに、あたしは見えない森のことを考えていたのだ。どこか狭い場所で眠っている巨大な森のことを。
学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。卒業から十数年を経て、4人はY島へ旅をする。太古の森林の中で、心中に去来するのは閉ざされた「過去」の闇。旅の終わりまでに謎の織りなす綾は解けるのか……?