エピローグ
今日は手術後、はじめての診察日。主治医の病理所見をいただくことになる。最悪のケースとしては、再手術も有り得る。その他のケースとしては、念の為、抗がん剤治療をしなければならないということもあり得る。もうここまで来れば、どのようなケースであれ、受け入れなければならない。今日の診察は恐怖でしかなかった。結論からはなすと、僕は癌ではなかった。最終診断は膵SCN(漿液性嚢胞性腫瘍)だった。膵SCNは基本的に良性腫瘍で、診断が明らかであれば経過観察でよい。また、転移した例は全世界でも数十例程度しかないらしい。術後再発のリスクはほぼない。膵SCNという病名は頭のなかにはなかった。膵臓がんのことについて色々と調べたはずだが、「自分が膵SCNかもしれないので、経過観察をしたい」というアイデアはなかった。僕の膵のう胞の形状は、膵SCNの典型的な形ではなく、今回担当して下さった、医師グループの間でも今回の細胞診の結果は意外だったらしい。担当の外科医は今回の結果に、とても済まなさそうな表情をしていた。確かに、膵SCNであることが特定できていれば、膵臓や脾臓を切らずに済んだのだ。きっと素直で誠実な方なのだろう。結果からすると、僕は手術をせずに経過観察を続けていても問題はなかった。しかし、その場合、病名は特定できず、常に癌の悪化や転移、手遅れとなる恐れがつきまとったであろう。こうして摘出してみなくては、膵SCNとわからなかったのである。想定していたケースとは真逆の一番良い結果が出たと考えれば、とても喜ばしいことなのだ。切除してなくなってしまった膵臓の半分と脾臓のことを想わずに居れない。それらを僕のために命をなげだして犠牲となってくれた人のように想う。今回の手術は僕にとって人生最大の賭けのようなものだった。より長く生きるために、僕は手術をする方に賭けた。確率として、手術をしたほうが生存率が上がると判断したからだ。掛けとしては僕は破れたのだ。手術をしない選択をした場合でも、嚢胞は転移せず、脾臓も残り、より健康に過ごせただろう。しかし、僕は自分の選択や判断を後悔してはいけないと思っている。犠牲になった臓器達のためにも、それに多く支払われた保険医療費のためにも。今後1年間は手術後の回復具合をみるために、数ヶ月ごとに経過観察をすることになるが、その後は1年ごとの長いスパンでの経過観察でよいことになるらしい。そう思うと、はっきり結果が出て本当に良かったと思える。肩の荷が下りたし、大きな安心を得た気もする。最後に、これまで、suizouganbaくんのブログを読んでくれた皆様に感謝したい。皆様が読んでくれるとおもうと、とても勇気がでたし、不安も吹き飛んだ。今回の顛末は、結局、suizouganbaくんがひとりで大騒ぎをして、ことを大きくしてしまった物語のように思うが、参考にもなると思う。ブログとして悲劇的でない最後は面白みがないかもしれないが、膵臓に関しては、悲劇的でない結末もあることを示せたと思う。こんな結末もあることが誰かの勇気になるよう祈っている。suizouganbaのmy PickAmazon(アマゾン)みかづき (集英社文庫)968円Amazon(アマゾン)ピスタチオ (ちくま文庫)179〜3,215円Amazon(アマゾン)ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー1,336円Amazon(アマゾン)やがて満ちてくる光の1,108〜5,450円