こんばんは。
松本清張は、本格古典作品をどのくらい読んでいたか?
これは謎です。
しかし、国内外で、似た人は見当たらず、
社会派推理ですから、それは当然ですが。
誰の影響を、一番受けたか、と言うと、推理作家ではなく、森鴎外とか、菊池寛とか、明治の文豪でしょうね。
クイーンも、クリスティも、バァンダインも、
乱歩も横溝も違います。
古典では、強いて言うと、「樽」を書いたイギリスのクロフツに近いかもしれません。
樽はアリバイトリックの話です。
鉄道がよく出てきますが、
クロフツ自身が鉄道技師として働いていました。
なので、推理に派手さはなく、手堅いテンポで書かれています。
樽が有名ですが、
「クロイドン発12時30分」のほうが、読みやすいです。
これは犯人側、犯罪の動機を持った男がいかにして、決意、遂行したか。そして容疑者にならないよう頑張る話です。
そういうリアリズムが、受け入れ安いです。
清張もこれに近いですね。
「告訴せず」「黒革の手帳」など、犯罪を犯す側の視点で書かれています。
でも、清張も純粋な犯人当ての長編作品を、2、3作書いています。
もうちょっと多いかな(笑)。
代表的なのは
「ガラスの城」
「黒の回廊」
「象の白い脚」など。
「黒の回廊」は珍しく、エンターティナーに徹した作品です。
完全娯楽作品。
軽やかな内容と裏腹に、
タイトルがあまりに内容とかけ離れているので、
人気がない、
難解なタイトル過ぎて人気がない、
損をしている作品です。
内容は湯けむり温泉シリーズなんですが(笑)
映像化、テレビ化は難しそう。
理由は制作費がかかるから。
なにしろ、海外ツアーでの連続殺人なので。
それも夢いっぱいのヨーロッパ。
デンマークだったかな、最初に行った国は。
若いOL向きというのを意識して書かれています。
主人公もOL。
「ヤングレディ」という雑誌に連載されていたので。
鮮やかな推理、というのは
清張氏にはない。
それだと普通の本格作品になってしまいます。
名探偵は一切出てこない。
それは、推理型ではなく、搜索型だからです。
ガラスの城も、黒の回廊も、象の白い足も、
事件を解くのは、市井の主人公。
ガラスの城は、タイトル自体は洒落てますが、
作品内容とマッチしてないです。
本格物は、具体的なタイトルのほうがふさわしいですね。
2つに共通してるのは、
OLが主人公で、
犯人探しで、
旅行が出てきます。
「象の白い脚」も、
舞台はラオスで、旅行ではないですがこれまた海外。
海外単身赴任の男性が主人公。
国際物です。
当たり前ですが、動物のゾウは出てきません。
清張の海外ものは、面白いです。
取材作家ならではですね。