こんばんは。

ミステリ案内の稲葉の白兎です。

山岳ミステリと言えば
八甲田山の雪中行軍。

明治に実際にあった世界最大の遭難事件。

ミステリというと誤解を招きそうですが、
この事件は
誰か偉い人にとって都合の悪いものである限り
隠蔽は必至で、

新田次郎原作のこの物語も、
史実と小説部分が合体して、
その境目がわかりませんね。

映画の大ヒットもあって
ますます
小説部分が一人歩きをしています。


高倉健‥いい奴
三国連太郎‥悪い奴
北王子欣也‥悲劇の人

極端に言うと、こんな感じで‥

でも人間である限り
完全な善人も悪人もいないわけです。

弘前31連隊の徳島大尉は、
高倉健が演じたこともあり、

八甲田山越えのミッションを
冷静沈着に遂行した理想的な軍人像になってます。

ですが最後に嘘をついたり
7人の案内人に厳し目に口止めしたり、
割と人間くさいところもありました。

青森5連隊の山田少佐は、
ステレオタイプな扱いにくい上に
現場を混乱させ、
失策だらけの判断をしたアホ上官の設定です。

でも最後は反省みたいな事もしているし、
自決して、失敗を帳消しにしてるので
許してやってもいいかな、という感じ。

実際には半死半生で
凍傷で引き金引くのがムリっぽい。
あまりにも作り事めいてます。

この山田少佐の死がすでに謎。
ミステリー。

本当の死因は何でしょう?

自殺、病死、他殺‥。

自殺の設定は、
あくまでも映画と小説だけ。

実際のところは全くわかりません。

ただ、自殺や、
療養の末の病死だったら
隠す必要はないと思います。

それと、
徳島隊の快挙が
喧伝されてないのが謎。

悲劇ばかりが伝わる雪中行軍ですが、

同時期に出発し、
日程も難易度の高かった徳島隊は
全員生還したのに
あまり絶賛されていない。

遠慮した?

アムンゼンとスコットの例を持ち出すと

アムンゼンはノルウェーの探検家
スコットはイギリスの軍人。

アムンゼンは南極大陸発見に成功したが、
後から来たスコット隊は、全滅。

このコントラストもさることながら、

アムンゼンの快挙を快く思わないイギリスが、
意図的に絶賛報道を抹殺。
スコット隊の同情に重点を置いて、
悲劇のヒーローとして祭り上げました。

つまり成功した方を褒めると、
失敗した方をけなすことになるので
自粛?

イギリスから見たらノルウェーに負けたのは
面白くない。

でも徳島隊も山田隊も同じ青森県の陸軍。

インパクトは悲劇の5連隊に比べて劣るかもしれませんが
報道を縮小、もしくは抹殺するのは解せません。

少なくとも快挙なら
隠す必要がない。
大手を振っていいわけです。

聞くところによると、
映画と違って徳島サンは、本名福島サンは、
かなり功名心の強い人だつたとか。

堂々と言いふらしていいのに
案内人に口止めする始末。

何か後ろ暗いところがあったのでは、
と勘ぐりたくなります。

考えられるのは
ただ一つ。

案内人や徳島一行は、
死屍累々たる遭難現場を通りかかってしまっただけではなく、

生きている兵士をも見殺しにしたということ。

下手に助けると、
自分とこまで遭難してしまう。

5連隊と出くわしたとすると、
徳島隊もその頃、
一番大変な、難所の
余裕のない行軍の真っ最中。

5連隊を助けたら
自分のチームが犠牲者を出すかもしれない。
快挙がパーになるかもしれない。

そこが人道的に非難される恐れもあります。

何で何もしなかったのか?

せめて本部に救援を要請するとか、
教えるだけでもよかったんじゃないか?

吹雪とはいえ、
5連隊の捜索の遅さは異常です。


徳島としては、そういう理由だとしたら、
快挙を言いふらすのに
ためらいが生じます。

目立ちなくない。
聞かれたくない。

「何か変わったモノを見なかったかね?」

「いいえ。まったく」

この推理が外れてることを願うばかりです。

それから
これも謎。

五体満足で生き残った両チームの兵士は、
次の戦争で全員戦死。

ちょっと、エェーって感じです。
雪中行軍、役に立ってないじゃん!

まさか生きて帰ることは許されなかった?

手足を凍傷でなくした一般隊員数名だけが
生き残っただけ。

彼らにしても軍を恨んだことでしょうね。

上官たちは天命を尽くしたとは言えないですから。

いい加減な計画。
装備。

そうそう、
成功した方の31連隊は、
新聞記者が従軍というか
同行したみたいですね。

そんな報道のエキスパートがいるのに、
全員生還の快挙が
華々しく報道されない

何のための従軍だったの??

不思議というか
不気味です。