社会人になってからは、忙しくもそれなりに充実した日々を過ごしていた。

上司たちには私が「真面目な社員」に見えたのか、評価されることも多く、少し自分が誇らしく感じた。


それに社内環境にはあまり期待していなかったが、入社先の上司たちは私を娘や妹のように可愛がってくれた。

私の両親でもそこまで可愛がってくれることはなかったので、色々な方々から温かく接してもらえることがとても心地良かった。


しかし販売業ということもあり、日に日に売上ノルマへのプレッシャーは重くなっていくばかり。

元々人に強く意見や考えを言うのが苦手だったため、営業トークに自信がなく、きっとお客から「本当に大丈夫なのか」と不審がられただろう。


結局段々と接客に入るのが怖くなり、2年程で退職した。

上司や同期に恵まれ、居心地の良い環境から離れるのが寂しくもあったが、接客に入らず売上にも貢献できないなら退職した方がいいだろうと退職を決意した。