何歳になってもママのところに帰らないと気が済まない男がいる。大学生になろうが、仕事を始めようが、30歳を超えようが、毎週毎週、実家に戻り、ママと一緒の空間にいたがる。彼らは家族が大事と言うが、物理的時間空間を共有することと、家族を大事にするということがイコールではない、ということを知らないらしい。
その手の男は自己肯定感が未成熟なままオトナになってしまったせいで、会社などの所属社会や友だちとの人間関係でアイデンティティや所属感を得られず、唯一の所属感が家族だった。彼は毎週実家に帰ることで、家族間の覇権争いを繰り広げ、自分よりも立場の弱い弟や妹に無用な干渉をすることで自分の承認欲求を満たしていた。DV家族にありがちな奇怪な家族病理である。家族以外に所属感を感じることができない男の哀れな姿である。家族で社会性を育むのは小学校までなのに。
適切な時期に適切な教育や養育環境を与えられなかった子どもの成長はいつしか歪み、例えばアダルトチルドレンと呼ばれる人格となる。自分がいなければ、この家族の均衡は壊れ、ダメになってしまうに違いないという錯覚に支配される人たちだ。その錯覚は逆に、家族を無用にかき回すのに。