ジョージ秋山の文庫版【デロリンマン上巻】を見た。

「魂のふるさと、デロリンマン!」
これが登場時の決め台詞である。

まあ、なんてカッコいいんだ!はてさて、カッコいい顔のヒーローが言ってるんだろうなと思えば、悲鳴をあげる程醜い顔の化け物だった。

それがデロリンマン!飛び降り自殺未遂で顔が潰れてしまったのだ。

顔を入れ替えるアンパンマンとは大違い。顔をちぎってあげる。そっちの方が悲鳴をあげる!

デロリンマンには家族がいた。しかし、顔の変わったデロリンマンを父だと認めず、蔑むような態度をとる。

バイトして買ったプレゼントを捨てられたり、妻の仕事を手伝い、大口の保険契約を結んだのに追い返される。果ては、息子に「火の中に飛び込め!」と命令される。

もしマスオさんが同じ状況になったら、ここまでされて黙っているだろうか!いや、家族と離れ、アナゴさんと麻雀をしてるだろう。

しかし、デロリンマンは家族を求め、罪悪の念を持ち、どんな仕打ちも受ける。

自称ヒーローを名乗るため、病院に入院されられ、脱走し、指名手配されてる。

助けた人には裏切られる。他人から偏見の目で見られ誤解される。それでも、デロリンマンは人を救う。

そして、最後にはオロカメンに「おろかものめ!」と言われる。
それがデロリンマンだ!

顔が福山雅治だったら、絶対、こんなことにはならない。ラジオで下ネタなんか言ったら刑務所送りだよ。

だからこそ、崖っぷちに立たざるを得ないデロリンマンは《不屈》のヒーロー像だと思う。

この漫画はかわいそうとか、笑えるとか、その次元じゃないの話じゃない。
いかに生きるべきか。誰が愚か者か。自分の心、魂で読むべき漫画!
すなわち「魂のふるさと、デロリンマン」なのだ。

ちょっとなが~くなるが、好きな話は【ひとり遅れて咲きにけり】。

デロリンマンは息子の四郎に遊んでもらう為に、なんでも言う事を聞くバカのフリをする。「デロデロちゃんと呼んでよ」そこに風太が来る。風太も四郎の言う事を何でも聞く。四郎はソリに乗り、それをデロリンマンと風太に首輪をつけ、馬のように引きづらせる。

ムチで叩かれ、さすがのデロリンマンもキレた。しかし、風太は平気な顔をして、ソリを引く。
デロリンマンは「子どもは純粋でいいな」と呟く。しかし、四郎たちが帰った後、雨の中、風太は一人で泣いていた。デロリンマンはそっとマントを彼にかける。

考えさせられる話だと思いませんか?私は色々考えました。えー、アレですよね。つまり、…その…かわいそうな漫画だなぁ。
「おろかものめ!」
そんな声が聞こえる気がする。

{92FE1127-BB2E-45F6-A0AA-C64A868B90C7}