長い旅路の中継地点。
風の抜ける丘の上で、これまでの道のりを眺めている。
人を責め、自分の正義を振りかざし、八つ当たりし、復讐に燃え、
自分に嘘をつき、裏切り、追い詰め、
それでも善き存在を目指し、愛を求め、期待し、それで傷つき・・・
全部やってきたよね。
今後も全部やっていくのかもしれない。
新しい匂いの風。
人を変えようとしなくなったなと思う。
誰かを責める人に出会っても、「自分を見つめよう!」
・・・と言うことがなくなった。
憎み、責め、泣き疲れて眠ろう。
言葉を尽くして、愛を求め、
嘆きの言葉を重ね、
都合のいい正義を誇らしげに掲げよう。
その体験なくして、僕らはどこへも行けないのだ。
憎しみの中にいる人も、すべてを誰かや何かのせいにしている人も
人を変えようと懸命になっている人も、哀しみの海でおぼれている人も
みんな、それは、いつか終えていく。
それと共に、今、目の前にリアルに見えている世界、自分が信じてきた「現実」が薄らいでいく。
みんなが、それぞれの映画を観ていることが、わかる。それぞれが、文字通り、必要な現実を創り出しているという「プログラム」が、はっきりと、わかる。
それは、ひとときの体感かも知れないが、その瞬間、はっきりと異なるレイヤー(層)にいる自分を発見する。
そして、次第にそのレイヤーにいる時間が長くなってくる。そして生きる世界が変わっていく。
僕らは、意識してもしなくても、そんなシフトを重ねて生きていくんだ。
新しい匂いの風を呼吸する。
そしてまた新たな旅へ。
自分の深く、そのまた深部へと続く、
終わりなき、美しき旅へと。