福寿園・サントリー「伊右エ門」誕生秘話・・商売とは、、 | 神城豊の「あなたが逆境を乗り越え幸せに成功する魔法の法則」

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倒産・一家離散・離婚、難病で生死を彷徨うも奇跡の生還後、現在はハッピービジネスマンへと逆境人生から何度となく立上がり今のハッピーライフを掴んだ波乱万丈人生を歩んできた私、神城豊が、あなたに逆境を克服し幸せに成功する魔法のルールを伝授します。

伊右エ門



緑茶・伊右衛門の福井家 家訓「儲けるつもりで損するのが商売」

福寿園って聞いたことなくても、

伊右衛門というサントリーのお茶ペットボトルは、
あなたも見たこと、飲んだことはあるでしょう。


私もあります。


でも、福寿園という200年も続く京都の老舗お茶屋

さんの創業者「福井伊右衛門」由来の名前とは
全く知りませんでした。

しかも、その老舗福寿園が、サントリーから

事業提携を、申し込まれ一度は断ったのに

悩み抜いた上で、この世に誕生したとは

全く知りませんでした。

福寿園会長


福寿園会長 福井正憲氏が、老舗の暖簾を守る

ことと、消耗品である「ブランド」をいかに

融合するかで、相当・悩まれたようです。

「当時、うちはどちらかといえば贈答品が
よく売れていましたから、有名になるということは
品格を下げることにも繋がりかねなかった。」

サントリーは事業で拡張するのが使命、

福寿園は家業だから「守って行く」のが使命・・

と・・・

福寿園


でも、行きついた結論は

「今の時代に合った価値あるもの」を提供すること

こそ福寿園、福井家の伝統を守ることに繋がる。

との結論に達し、今のサントリー「伊右エ門」が

誕生した訳です。

福井会長コメント:
「福寿園の歴史を振り返っていると、その時代に価値ある企業であったからこそ、生き残ってきたのだということを再認識しました。単に守るのではなく、その時代に価値あるものを提供してきたからこそ今日がある。


この福井家の家訓、福寿園社是などがとてもユニーク
で興味を惹かれる。

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▼福井家家訓
無声呼人
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⇒これは、文字通り「声を掛け無くとも、人が寄って来る」商品を
 作って売れ。
の意味。

バナナのたたき売りの様に「人に大声で声を掛け、宣伝し、やっと売れる」
んじゃダメで、何も宣伝しなくともお客様の方から寄って来て下さるような
商品を作ること。

さらには徳を積むこと、自分を磨くことによって人が集まる。お金を儲けるというより、商品にも徳や品格が必要であり、それがあれば、自然と商売は成り立つという意味が込められています。

現代で言えば、大がかりな宣伝なんかしなくても「ネット上の口コミ」で自然と人様、お客様が寄って来てくれる様にしろ。ということかもしれません。




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▼福寿園社是
信用を蓄積しよう
得意先を蓄積しよう
技術を蓄積しよう
人材を蓄積しよう
資本を蓄積しよう
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▼つもり十訓
多いつもりで ないのが分別
あるつもりで ないのが財産
ないつもりで あるのが借金
深いつもりで 浅いのが知恵
浅いつもりで 深いのが欲
高いつもりで 低いのが見識
低いつもりで 高いのが腰
儲けるつもりで 損するのが商売
飾るつもりで 剥げるのが嘘
隠すつもりで 顕れるのが悪事
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■当初なぜ、ペットボトル「伊右衛門」を断った? 

 福寿園は今年で創業226年目、福井家は創業者の福井伊右衛門から数えて、私で8代目になります。

 創業の地である京都・山城は、もともと伊賀街道と奈良街道の交点で、名古屋、大阪、京都、奈良のちょうど交差点に当たり、交通の要衝として諸物が集まりやすい土地でした。貿易でも“東の神戸”といわれるくらい繁盛したことで、お茶も集まってきたのです。

 もともと創業者の伊右衛門は綿など諸物を扱っていましたが、お茶一本に絞り商いを拡大させてきました。ただ、福井家の家訓「無声呼人」、文字通り、「声なくして、人を呼ぶ」を最初に誰がいつ掲げたのか正確にはわかっていません。親父もこれが家訓だと聞いていたようですが、早くに亡くなったので、細かい話は聞けませんでした。

 戦後、バナナの叩き売りというものがありましたが、そうしたかけ声で売るのではなくて、良いものは自然に売れていく。逆にいえば、徳を積むこと、自分を磨くことによって人が集まる。お金を儲けるというより、商品にも徳や品格が必要であり、それがあれば、自然と商売は成り立つという意味が込められています。

 そして、もう1つの家訓と言うべきものが、「つもり十訓」です。「儲けるつもりで損するのが商売」「あるつもりでないのが財産」「ないつもりであるのが借金」「飾るつもりで剥げるのが嘘」……と私の寝室にかかっていたので今でも簡単に暗唱できるほどです(笑)。これは社員にも読ませており、「無声呼人」と一緒に社員手帳に載せています。

緑茶・伊右衛門の福井家 家訓「儲けるつもりで損するのが商売」
サントリーと共同開発した「伊右衛門」。創業者の名前を商品名にする案には、最後まで悩んだ。シリーズの茶葉やティーバッグは福寿園のグループ会社で販売。
 実はこうした家訓はすべて「今日の利益のためよりも、明日の利益のために何をしたか」ということを実践するためにあるといっていいのです。サントリーさんから最初に「伊右衛門」のお話をいただいたときも、一度断りました。我々は家業でお茶屋をやっていて、事業のサントリーさんとは違う。私たちにとって大事なことは、のれんを守ることであり、次の時代に引き継ぐことです。私だけが思い切って、好き勝手するわけにもいかないのです。当時、うちはどちらかといえば贈答品がよく売れていましたから、有名になるということは品格を下げることにも繋がりかねなかった。

 私は「ブランドは消耗品である」とよく言うんですが、ブランドは守っていてはいけない。育ててこそ、ブランドの価値が出るのです。ただ、広く使われるとブランドの効果はそれだけ薄くなり、大衆化してしまう。だから、ずいぶん悩みました。仏壇や墓にも参りました。ご先祖様の「伊右衛門」という名前を使うということは、本来最後の手なんです。それは先祖からの歴史を全部懸けるということですから。

 そんなとき福寿園の歴史を振り返っていると、その時代に価値ある企業であったからこそ、生き残ってきたのだということを再認識しました。単に守るのではなく、その時代に価値あるものを提供してきたからこそ今日がある。

 うちもお茶屋で初めて、缶ドリンクを出した経験がありますから、そのときからペットボトルの時代になることはわかっていました。「ペットボトルが売れるからやりましょう」だったら、うちがやる必要はなかった。でも急須離れがあって、「急須で出すのに近い味をペットボトルでも出したい」というお誘いがあった。だったらやりましょうと。

 でも、私は「二兎を追う」のが好きなんです。経営判断において2つの選択肢があった場合は、必ずどちらも正しいんです。1つだけ正しいということはない。経営には常に複数の案があるということです。だから、どちらを選んでも正しいわけです。「伊右衛門」をやって良かったし、やらなくても良かったかもしれない。どちらも一緒です。成功するまでやればいい。

■なぜ、宇治茶を売りに行かないのか? 

 だから、事業は一度決めたら途中下車できない。例えば、うちでは10年前から観光事業をやっていますが、やはり時間はかかります。始めたのは宇治茶も「眺めてもらって、カネを落としてもらい、帰ってもらう」時代に来ているからです。今は宇治茶を売りに行ったらダメ。買ってもらうだけでもダメ。それはもう通用しないのです。

 私は商売では一切手形を出していません。すべて現金決済です。しかもむやみに事業も拡げない。お金のあるだけ、銀行が貸してくれるだけの範囲で仕事をしています。

 資産運用についても親父は、自分では株をやりませんでした。それはお茶に相場があったからです。お茶自体が、時期によって上がったり下がったりした。だから、資金的にも株を考えている余裕がなかったんです。むしろお金があったら、お茶で勝負したらいいということです。だからこそ、万が一のときのためにも、私たちの代で「資本を蓄積しよう」がある社是を作った。こんな言葉を入れた社是は、ほかの会社にはないでしょう。

 福寿園には200年以上の歴史があるわけですが、やはりサバイバルできた一番の要因は、その時代に価値あるものを提供してきたからです。目先が利くというよりも、その時代に存在価値ある企業として生きてきた。私が何かを判断する際も、こうした歴史が一番参考になります。

 私のところには今も様々な会社からビジネスの誘いがやってきます。では、そのときの判断基準とは何か。やはり会社を存続させるということです。それは死守しなければなりません。そのために、先行して何らかの備えをしておく。だからこそ、「今日の利益のためよりも、明日の利益のために何をしたか」が一番なのです。それは歴代の経営者たちも実践してきたことです。自分だけのためにするのではなく、次の時代のために何をするのかが常に念頭にある。

 もう1つ大事なことは、お金を儲けようとあまり思わないことです。ほとんどの人は、ビジネスに敏感で、商いで儲けようとする。でも、父も私たちも、お茶で儲けようという発想はほとんどありません。むろん損するのは嫌いですが。商売は金儲けのためにするのではありません。社是にもあるように、社会のために何をするのか。社会に貢献しなければならない。私はそれが人間の生きがいであるし、そのプライドが大事だと思っています。(出典:プレジデント)