日本円だけを貯金することのリスクとは?為替・経済成長・実質価値の観点から考える
多くの人が生活費や教育費、老後資金を「安全」な日本円で貯金していることでしょう。しかし、「日本円だけ」の貯金は、「日本円に全力で投資している」状態であり、見過ごせないリスクが存在します。
為替のリスク:円の価値は変動する
まず考えるべきは、為替のリスクです。日本円の価値は、ドルやユーロなど他国の通貨と比較して毎日変動しています。この為替変動により、円の価値が他国通貨に対して下がると、海外からの輸入品や留学費用、旅行費用などが割高になります。
例えば、1ドル=100円だったときに海外の商品が100万円だったとします。しかし、円安が進み1ドル=150円になった場合、同じ商品は150万円必要になります。円だけを持っていると、為替変動によるこうした「目に見えない損失」を受けやすくなります。
さらに、日本はエネルギーや食料の多くを輸入に頼っています。円安になると輸入コストが増え、物価が上昇する可能性があります。この状況下では、円を持っているだけでは生活費の負担が増え、貯金の価値が実質的に目減りするリスクが高まります。
経済成長のリスク:停滞する日本経済
次に注目したいのが、日本経済の成長率です。日本は世界の中で経済成長が比較的低い国とされています。1980年代から2000年代初頭にかけては、経済大国としての地位を誇っていましたが、近年は少子高齢化や労働人口の減少が原因で、経済成長率が停滞しています。
一方で、新興国や先進国の中でも成長率が高い国では、経済規模が拡大し、通貨価値が上昇する傾向があります。例えば、アメリカのドルやアジアの一部の通貨は、経済成長の恩恵を受けてその価値を維持、あるいは上昇させています。
日本円だけに依存していると、日本経済の停滞による資産価値の目減りに直面する可能性があります。一方で、経済成長の見込まれる国の通貨や資産に分散投資していれば、こうしたリスクを回避しやすくなります。
実質価値のリスク:インフレによる資産の目減り
最後に重要なのが「実質価値」のリスクです。仮に1000万円を銀行に預金していても、物価が上昇するとそのお金で買えるものの量は減ってしまいます。これが「インフレ」の影響です。
日本では長らくデフレの時期が続きましたが、近年はエネルギー価格や輸入物価の上昇により、物価が上昇傾向にあります。一方で、預金の金利は0.001%程度と非常に低水準です。物価が年間2%上昇すると仮定した場合、銀行に預けたお金の「実質価値」は年々減少していくことになります。
例えば、現在、年間の大学費用諸々が100万円掛かるとして、将来の子供のために預金したとしても、10年後には110万円必要になっている事を示しており、預金だけに頼っていると資金が不足する可能性があるのです。円だけに資産を置いておくことは、この「実質価値」の低下に対して無防備であることを意味します。
円だけに頼らない資産形成のすすめ
これらのリスクを軽減するためには、資産を「日本円だけ」に偏らせないことが重要です。外貨預金や海外ETF、新NISAなどを活用して、ドルやユーロ建ての資産などに分散投資することを検討してみてください。
また、金(ゴールド)や不動産といった、インフレに強い資産に一部を移すのも有効です。たとえば、10%程度をドル建ての投資信託、5%程度を金などの資産に割り振ることで、為替リスクやインフレリスクに対する備えができます。
まとめ
日本円だけを貯金することは「安全」に見えるかもしれませんが、為替変動、経済成長の停滞、インフレによる実質価値の低下といったリスクが潜んでいます。これからの時代は、資産を多様化し、円だけに依存しない戦略を取ることが重要です。小さな一歩から始め、将来の資産価値を守る工夫を始めてみましょう。