●満足度:80点

これはどこまで森達也監督が描いた筋書きなのだろうか。
相手方の取材が受けられないという制約のなかでは、このラストがなければ成立しなかったのではなかろうか。

くそ真面目に撮ってしまうと、やたら悲しくて重苦しい作品になりそうなところ、佐村河内さんのコミカルな部分を抜き出したり、猫パワーを存分に借りていて中和させている。

それでいて報道のあり方、ずるさを問う作品であり、ドキュメンタリーとしての見所も多い。

取材に協力しないと勝手に悪者にされてしまうというテレビのやり方を描いた上で、本作でも同じ手法でやりかえしている。佐村河内側の不都合な証言は全然出てこないし、語られていない真実も山ほどあるだろう。

後半は、誘導尋問で無理矢理夫婦の話にもっていったり、佐村河内夫婦をストーリーに乗せようとするのがずるいが、監督自ら姿を見せて誘導している事を隠さないので、筋は通している。

もちろん、見えないところで監督がどれだけ誘導してたか、どこまで監督が知っていたか分からないし、本作だけではFAKEがどれだけあるかなんて知りようもないのだが、これも一つの「誠実な」ドキュメンタリーの形である。