伝統行事、伝統食、伝統文化が好きな店主。明日9月9日は最大陽数の9が重なる重陽の節句で、被綿菊という菓子を作る予定でした。

古来、菊の花に綿をかぶせ、重陽の菊の朝露が染みた綿で体を拭くと無病息災だとか言われましたが、その綿を被せた菊の様子を表したかわいい練り切りのお菓子です。

 

でも、今夜、急遽、出張で前泊しないといけなくなり、作るのを断念。すあま商會始まって以来、毎年作ってきたのに😿

来年は作れるといいのですが。

 

急遽の仕事がよくあるのですが(別に新聞や週刊誌のライターなわけじゃないのに。でも、今回の仕事は天気に大きく左右されるため、突如、行くぜ!ってなる)、猫の事情も急遽、がとても多いです。

 

昨日、くろちゃんという猫さんを通院させたのですが、なかなかむつかしい状況で、院内カンファレンスをしてくれて、その結果を夜になって病院が知らせてきて、急遽、今朝、また病院に連れて行くことなりました。そして、そのまま入院し、水曜日に手術、という運びになりました。

 

くろちゃんは、まだ皆様にほとんど紹介したことがない猫ちゃんです。

 

1年ほど前に保護された子で、推定5歳くらいの男の子。くろちゃんという名だけれど、きじ白猫です(保護主さんがくろちゃんと命名)。

 

顔も体もでっかでかで、体重は6キロちょっと。保護主さんの前に現れたときから、片目はありませんでした。あとでわかったことだけれど、手術痕があるため、もともと飼われていた可能性があります。去勢もしてあったし。マイクロチップはなし。

飼われていた可能性はあるけど、突然、保護主さんのご実家のお庭に来るようになって、半年ほどたって、これはもう放っておけないということになり、保護に至ったわけです。

 

なぜ放っておけなかったかというと、右前足が不自然にぐきっと折れた状態で固まっていて、そこから出血していたから。しばらくは様子を見ていたけれど、これはまずいということで、保護してもらったわけです。

 

その後、しばらくは預かりさん宅にいて、その間にも何度か保護主さんや預かりさんがいろんな病院に連れていってくれて、足について様々な見解をもらっていました。傷口がなんとなくふさがり、折れたままくっついている足でも問題なく歩き回っていましたが、時々、傷口をなめ壊してしまって、血や膿が出てしまうことがありました。

そして、ちょっと前に、正式にすあま商會所属猫になりました。

それからしばらくして、くろちゃんを見初めてくださった方(こちらからくろちゃんを紹介したため)のおうちでトライアルが始まりました。するとトライアル開始からしばらくたって、またくろちゃんの足の傷口から血が出るように。

 

それで先週からちょくちょく病院に行っているのですが、結局、他の病院同様、傷が開くことが繰り返されるようであれば、菌が繁殖して敗血症になって死んでしまうこともあるので、断脚をしなければならないかも、といわれました。

 

それでも、なんとか足を温存する方法はないか、今行っている病院の先生方が模索してくれていて、そして先生方は気づいたのです、どうも、レントゲンの撮り方の問題か、何か怪しげな影が見えると。

 

それで、昨日、改めてまた、その気になる影のあたりを中心にもう一度レントゲンを撮ったところ、何かが肉の内側で刺さっている様子が鮮明に映りました。骨折した際(どういう理由で骨折したか不明)、そこに刺さったままになっている骨片か、あるいは骨折の際に入り込んでしまった何かしらの異物か。その骨片か異物の周りは空洞になっていて、おそらくそこに菌が繁殖して、何度も何度も膿がたまってしまっていたのではないか、というわけです。

 

当初は、デブリードで傷口の内部(すかすかのぶかぶかになっている)と骨を洗って菌の繁殖をおさえて縫合するか、それをやってもまたそのうち膿が内部で出てきてしまうなら断脚するかっというところで迷っていましたが、その異物をとれば菌が繁殖しなくなる可能性が出てきたため、デブリードすることにしました。もしそれでだめで、結局は断脚することになったとしても、くろちゃんの体力なら大丈夫ということと、そもそも体重もあり、筋肉隆々のくろちゃんの足の切断は結構ハードルが高いようでした。

トライアル中のくろちゃんは先住猫さんと追いかけっこして遊んだりしているし、足をなくしてしまってももちろん猫は上手に動けるとはいえ、4本脚の時ほどの動きはできないし(骨折していたとしても)、体重も重いから3本脚ではつらいかもしれないし、とうことも考慮して、まずはデブリードと異物除去でやってみよう、ということになったのです。週に何度か通院して、傷内部の洗浄をその都度していたので、今は比較的綺麗な状態で、このタイミングで手術するのがベスト、ということもあり、急遽、水曜日の枠にねじ込んでくれました。

 

実はくろちゃんは、四六時中鳴いている子です。

 

当初は、もとの飼い主さんが恋しいのかとか、寂しいのかとか、不安なのかとか、脳障害があるのかとか、いろいろな可能性を考えていました。が、もしかしたら、この足の傷がずっとうずいていて、痛みに慣れすぎてしまっているけれど、それでもやはり気になって気になってじっとしていられないし、鳴いてしまうのではないか、そうだとしたら、痛くてつらくて鳴いているのだとしたら、そんなかわいそうなことはなくて。異物が取れたら、もしかしたら鳴かなくなるのではないか。痛みを、苦しみを一刻も早く取り除いてあげたい。

 

くろちゃんは本当に痛みに耐え続けて、本当に頑張っている子です。すごく性格が良くて、抱っこが好きな甘えん坊です。異物が取れて、足も温存されて、元気に先住猫さんと追いかけっこを続けられるようになってもらいたいです。

 

がんばれ、くろちゃん。