時刻は10時47分。
東武東上線準急森林公園行き8両目。
情宣メンバーもブログを書けということでこのブログを書いている。
車内は乗車率40%ほどで、顔を上げると、向かいの窓に二重あごの男がケータイを片手にニヤついている姿がうつるが断じて俺ではない。
東京から地本に帰るときにはよく中学生のときのことを考える。
こんな思い出に耽っているとつい先日の成人式のことが思い出される。
俺の母校は地元の普通の公立中学なのだが、地方で言う普通のやつらは勉強ができないやつが多い。
それは20歳になった今でも変わらない。
古い友人たちを見渡すとだいたい6割ぐらいのやつは、15歳のときよりも脳ミソへろへろになって成人式を迎える。俺の友達には特にそういうやつが多い。
式の後、晴れ着姿の女の子たちとおしゃべりしたり、記念撮影をしてると少し離れたところで場違いな言葉が聞こえる。
「ゴミ箱買ってきたからガイモンやろーぜー」
・・・!?
マジかこいつら。
ガイモンとは中学時代に一世を風靡したイタズラで、ゲリラ的にターゲットの後ろに回り込み、お尻からゴミ箱に押し込み、名前通り「ガイモン」状態にするというオーシャンズ11ばりのチームワークを必要とする作戦だ。
向こうを見るとスーツ姿の元サッカー部の彼(以下むかしサラサラおかっぱヘアーだったことから日村とする)が青い円柱状のバケツを片手に猛ダッシュしている。
「フッ、相変わらずだな。」などとゴール前の本田のような落ち着きを見せ、女子たちと昔話に花を咲かせていると、
「やーめーろーよーおーらー。」
犠牲者達の叫び声とともに日村一味の笑い声が聞こえる。
さっき言い忘れたが、ガイモンのおそろしいところはゴミ箱にはめられた状態で教卓の上や階段の際などに担ぎ上げられ身動きが取れなくなるというところだ。
不思議なことだが、日村の笑い声を聞いていると、さっきまで大人の余裕を決め込んでいた俺もあの頃を思い出して加勢したくなってくる。
そんな気持ちで日村一味のなかで最も少年ハートを忘れてない幼馴染(以下顔がでかい上にパーマを失敗して武田鉄矢みたいになっていることから武田とする)の方をちらちら見ていると、武田は満面の笑みで、
「たけるがすましてるぞー!」
一斉に振り向く日村一味。
「ファっ///」(なんかうれしい)
バケツ片手の彼らがなにやらヒソヒソ話をはじめている。
俺が初孫を見るようなやさしい眼差しでその様子をを眺めていると、彼らは小さく円陣を組んだ。
武田「たける写真撮ろーぜー!」
(初歩的な手///…)
にやにやが止まらない。
写真撮影を装った一味は俺の横に並ぶと、掛け声とともに手早く俺のお尻をゴミ箱に突っ込んだ。
(なつかしい。)
しかし、幸せとは長続きしないのが世の常である。
知ってる人も多いと思うが、勢いづいたマジキチのイタズラは、テトリスと同じで、失敗するまでハードになり続ける。
うちの市の式の会場は大きな池の真ん中にあって、そこに橋が架けられているのだが、ガイモンの現場はまさにその橋の上だった。
担ぎ上げられた俺は、高さ30センチ幅20センチほどの転落防止用の縁石の上にのせられた。
俺「がちヤヴァイ、がちヤヴァイ」
バケツにはめられた俺は、ガウディもびっくりのバランスで縁石の上で踏みとどまっている。
大きな笑い声とともに写真を撮る一味。
限界が近づき、痙攣しだす上腕二頭筋。
脳内ではモーツァルトのレクイエムがリピートしている。
知らない中学の見たこともない新成人たちが、まるでハリウッドスターが来日したときのようにフラッシュを焚いている。
彼らのカメラには楽しい思い出と共に哀れな男の後ろ姿がおさめられているだろう。
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