久しぶりにちょっと時間があるので,少し長めに書いてみます。
入試の平均点も出ましたが,次回に譲ります。
『自分が当たり前と思っていることを,他人は当たり前と思っていない』
この仕事を始めて10年,他人に物事を教えるということに関して,本当にいろいろなことが分かってきました。
その中でも,上記のことは常に念頭に置いて指導すべきだと痛感しています。
前にブログでも触れたことがあるような気がしますが,最近のエピソードを一つ紹介します。
今年度から,数学のメイン教材を変更しました。
前回のもの同様,スモールステップで,詳細な解説と例題の直後に同様の問題がある形式です。
異なる点は,例題には穴埋め部分があり,答えはページの下の欄外に記載してあって,すぐに確認できる点です(以前の物は例題は読むだけでした)。
当然,例題で手を動かさないといけないので,しっかり読むことになるだろうと思っていました。
しかし,予想外のことが起こります。
ある生徒は,例題と異なるやり方をして,見事に間違えていました。
その間違え方から,疑問が生じました。
解説でも例題でも質問は挙がらず,穴埋めも正解している。
難易度も,例題と違うことをやる方が難しいくらいで,いったいどうやったら間違ってしまうのか。
そこでよくよく聞くと,なんと穴埋めの直前部分しか確認していないとのこと。
「膝から崩れ落ちる」というのは小説でだけある表現ではなく,それをまさに経験することになるとは,本当に貴重な仕事に就いていると実感できる瞬間です。
例題では,その問題の解法の過程を確認していって,最終的な答えのみ,穴埋めの形でやります。
おそらく,穴埋めすることが目的だと勘違いしたのでしょう。
途中過程からしか見ていない,つまり元がどんな問題だったかをしっかり確認していないので,直後の問題でも初めの正しい手順が分からず,結果,間違うわけです。
これが,特定に1人だけではなく,別の生徒でも見られました。
その生徒は,正解はしているものの,あきらかに解法が例題と異なっていたので,聞くとやはり最後の穴埋めしか見ていないとのこと。
ちなみに,テキストはおしゃべりできないので,途中過程は必要以上に詳しく書いてあることや,そのために省けるところは省いてもかまわない,むしろそういうところを工夫してほしいということも伝えています(昨年度以前のテキストでも同じ)。
おそらく,他にもいるのだろうと思います。
そうなると,こちらのオペレーション不足だったことが明らかです。
これまでの経験から,例題をしっかり読まない子がいることはもちろん分かっていました。
しかし,例題をしっかり読ませるための穴埋めが,それが目的だと錯覚してしまうという,こちらの予想をはるかに上回ることが起こったわけです。
もちろん,穴埋めすることがプラスに働いている生徒もたくさんいると思います。
今後は,穴埋めが目的ではないことをしっかり伝達することが必要だなと分かりました。
それにしても,誰からも教わっていない内容に取り組む際,例題をしっかり読まないなんてことがあるのか,ましてや,直後に問題を解かないといけないわけで,それなら唯一の手がかりになる直前の例題をしっかり確認するのが当然だと思いますが,それが当然でない子が一部いるとうことです。
さらに大事なことは,「なぜそういう行動をとってしまうのか」にまで思いを馳せないと,学力向上は望めないということです。
結局のところ,読むのが「面倒くさい」のです。
大事なことは面倒くさいものです。
面倒くさがる気持ちから偉大な発明が生まれたことも事実ですので,その気持ち自体は否定しません。
しかし,生徒に常々言っているのは,「大切なものが何かをわかるようになってほしい」ということです。
上記の場面で,しっかり解法を確認することは,多くの人が大事だと認識できるはずです。
1人1人能力は異なりますので,しっかり読んでも,うまく理解できない人もいるでしょう。
その場合は当然私が教えます。
教え方も,その子の能力と取り組んでいる問題に応じて様々です。
大事な箇所をもう一度読んでみるように言うだけの場合もありますし,ポイントを一言言うだけの時もあれば,詳細に解説する場合,さらに似たようなものを紹介したり,若干応用させたものにまで言及したりするなど,様々です。
まずは自分の頭を使うことが大事なわけで,それを面倒くさいという理由だけで放棄するのは,自身の成長する機会を失っていることに他なりません。
さらに塾に通っている場合は,保護者様がお金を払っていますので,それも無駄になっているといっても過言ではありません。
長くなりました。
当塾に興味を持たれた方がおりましたら,お気軽にお問い合わせください。
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