先日書きかけた,算数・数学について,少し述べます。

 

この仕事を始めてから,何人もの算数・数学が苦手な子に出会ってきました。

そのたびに,その児童生徒がどこにつまずいているのか,何が理解できていないのかを見極めながら,最善の指導を続けてきました。

小学生の算数なら,数の抽象化が十分でない子,10進法の概念が定着していない子,たしひきかけわりを場面で使い分けられない子,計算の手順を常に間違える子,いろいろとみてきました。

こういった例は,発達の部分とも関わってくるので,なかなか難しい部分であり,これから述べるのはこういう子たちに該当することではありません。

最低限の数の知識・技術はあるけれど,数学がなかなか厳しいという子に該当するような内容です。

例えば,他の科目はできるのに,数学だけはうまく解けないという子がいます。

他の科目なら8割以上取るのに,なぜか数学だけは平均程度という子や,他の科目は平均くらいは取れるのに,数学はそれを下回る子などです。

私は文学部出身ですので,「ど」がつくほどの文系ではありますが,数学が最もよくできました。

他の勉強に飽きると,数学をやっていた記憶があるくらいです。

そのためか,その生徒がなぜ数学だけうまく解けないのか,その本当のところと言いますか,原因として根っこの部分に何が隠れているのか,いっこうに分かりませんでした。

おそらく,自分とは違う考え方で問題に取り組んでいるのだろうという漠然としたものがあるだけで,その正体がつかめないままでした。

しかし,先日,ふと気づきました。

それは端的に言うと「数字にとらわれすぎているのではないか。意味をしっかり考えず,数字だけを見てどうにかしようとしているのではないか」ということです。

 

たとえば,以下の問題があったとします。

「定価の2割引きだと4800円のスカートがありました。定価はいくらだったでしょうか。」

 

算数・数学が苦手な子は,とにかく4800という数字や2割引きの2という数字にばかりこだわり,とにかくその数字を使って何か計算をして求めなければいけないという思いが先行してしまうのではないかという考えに至りました。

その結果,数字など無視して,まずは日本語の意味を捉えないといけないことに気付けず,結局よく分からないまま,過去の記憶をたどり,「たぶんかけ算かも」とか言って,誤った計算方法をとってしまいます。

もちろん,2割引きだと全体の8割に該当するという割合の考え方を理解している必要がありますし,8割を小数に直す知識も必要ですし,「定価×0.8=4800」だから,「4800÷0.8」という計算になることも知識として身に着けている必要があります。

 

方程式の文章題でもそうです。

数字ではなく,日本語で方程式が作れるはずなのです。

数字と文字は,ある意味,言葉を置き換えた記号に過ぎません。

一次関数でもそうです。

xとy,二つの量の関係性が等式になっているだけです。

片方が決まるともう片方も決まるだけです。

 

もちろん,こういったことだけが原因ではないと思います。

算数・数学の苦手な人の,根っこではなく,一面でしかないのかもしれません。

私程度の人間が気付くことなので,多くの人は気付いているかもしれません。

 

うまくまとめる時間がなくなりました。

ひとまずこれで切り上げます。