大腿骨頸部骨折

大腿骨骨子部骨折


先日、超音波骨折治療について書いたので、今日は骨折について勉強しようと思います。今回は骨折内容と手術について勉強します。




(解剖的特徴)
・大腿骨は太くて丈夫な骨。若い時はそう簡単には折れない。この骨折の多くは、65歳以上の高齢者で、転倒によるものが多い。骨折の原因で最も多いのは、骨粗鬆症である。
 ・関節は関節包に覆われている。
・大腿骨頸部は股関節包の内側①、転子部は外側にある②。
・骨折した骨が癒合するときに重要な役割を果たすのが、骨の表面にある外骨膜。しかし、関節包の内側にある頸部には外骨膜がない。そのため、この部分は癒合しにくい。(偽関節になりやすい)
・大腿骨頸部や骨頭部は、回施動脈という細い動脈が栄養動脈である。頸部(内側)骨折では、この動脈が損失を受けている可能性がある。そうなると血流がなくなり、栄養が滞ってしまう。骨頭壊死や、最悪の場合脆弱になった骨頭は潰れてしまう。

(特徴など)
・高齢者の寝たきり状態となる原因上位。
・早期手術、早期リハビリテーションにより、歩行能力はある程度回復する。しかし、受傷前に比べると、歩行能力は低下してしまうことが多い。
・頸部骨折では骨癒合が得られても、2年程度の間に疼痛が生じ大腿骨壊死になることがある。
・基本は外科的手術が行われる。受傷後、できる限り早期に手術し、リハビリテーションを開始する事が重要。
・とくに、受傷前に歩行能力が低いと歩行困難になる危険性が高いため、そのような患者ほど早期手術とリハビリテーションが大切となる。
・粉砕骨折など強固な固定が必要な場合を除いては、原則早期離床が可能。術後2、3日以内で離床し、臥床期間はできるだけ少なくする事が大切。
・保存的治療となるのは①手術に耐えられない状態の場合、②不全骨折で比較的早期に離床が可能性な場合。(不全骨折とは、骨が完全に断裂せず部分的に繋がっている骨折のこと)
・保存的治療の場合は骨癒合が得られるまでは床上安静とし、持続牽引により骨癒合を待つ。しかし、転位がほとんどなくても1カ月、転位があると2カ月近くかかり、長期臥床状態となる。高齢者の場合は特に寝たきり状態になるリスクが高い。

(症状)
・下肢の付け根や臀部の疼痛、腫脹、歩行困難、下肢の短縮、内側骨折の場合は外旋変形(外側骨折では転位は少ない、しかし殆ど内側骨折患者)、体位変換不能など。
・血管損傷がある場合、骨折周辺部に血腫を認める。
・ 骨折部の転位が大きいと、疼痛が強く動かせない。
・特に頸部骨折でズレも少ない場合は、疼痛も軽度で歩行可能な場合もある。
・認知が重度の場合は自覚症状に乏しく痛みの訴えがないこともある。
・疼痛が軽度でも鼠径部や臀部に限局した痛みが、1週間以上持続する場合は骨折を疑う。
・転位がほとんどない骨折は単純X線だけでは診断が困難な場合もある。適宜CTやMRIにて診断する。

(手術に関して)
・骨接合術:骨を金属など器具で固定して折れた骨を接合する。
・人工骨頭置換術:骨を接合する事は断念し、骨折した頸部から骨頭までを切除して人工骨折に置き換える。
・基本的には、骨折部が大きくズレている場合は人工骨折置換術、骨折部があまりズレていない場合は骨接合術が行われる。
・骨折部のズレが大きい場合に骨接合術を行うと合併症発症リスクが上がり、合併症による再手術が必要となる場合がある。
・人工骨頭置換術は、骨接合術に比べると手術侵襲がやや大きくなる。また、術後感染のリスクや脱臼の危険性がある。
・人工骨頭の長期使用では弛みが生じ、 再置換術をする事がある。耐久性にはあまり問題がないと言われている。
・頸部骨折に対して骨接合術が行われた場合、合併症として偽関節、骨頭壊死、遅発性骨頭陥没などが生じるリスクがある。こうなると、固定していた器具を取り除いて、さらに人工骨頭置換術が必要となる。
・手術を待つ間は、牽引療法を行う事がある。牽引療法により整復し、筋萎縮など障害の拡大を予防する。

■大腿部の骨折についてキメてるスター
年々骨折の患者さんは増えている様に感じます。年齢も高い方が多いので、認知症の方や術後せん妄になる方も増えている印象です。疼痛コントロールがとても重要ですが、なかなか難しいですね。まだまだ修行が必要です。今回は看護に関して書いてないので、次回は具体的な看護について勉強したいと思います。