3月15日の原発事故から4月~5月にかけての東京の子供での体調不良を
心配している方が多いと思います。少し見積もりましたので記載します。

結論はいつものように「判りません」でしたが、
・放射能が皮膚に付着する直接効果は事故後1ヶ月の積算で1mSv程度以内
 なので、普通はそれだけで皮膚疾患がでるレベルとは思えません。

・ただし、ガス状のヨウ素まで考慮すると吸入による内部被曝が意外に多く、
 かつ、事故後10日程度と急速だったので多数の子供全員に「全く問題無い」
 と言えるレベルかどうかは怪しい様な気がします。

・3月~5月にノドや鼻や皮膚など、なんらかの体調不良があった子供の場合は、
 今後も食事内容やうがい、スキンケアなどに気をつけたらどうか?と思うレベル
 の様に感じます。少なくとも自分の子供だったらそうします。

ーーーーーーーーーーーー以下、簡単な見積りーーーーーーーーーーーーーーーー
①まず、東京(東部)~千葉(西部)の土壌汚染がどの程度か見積もります。
 航空機モニタリングはまだですが早川マップを参考にし、セシウム合計で
 3万Bq/m2程度はありえるだろう?と想像します。

・文科省航空機モニタリング(茨城県)
 http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110830_01/


・群馬大早川先生ブログ
 http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-414.html


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②つまり新宿の降下物の「倍」くらいの地域は普通にあるだろう。と思うわけです。
 さらにフィルター集塵方式ではガス状ヨウ素の評価が低かった可能性もあるので、
 適当な係数を与えて、都の測定の5倍(ヨウ素)、2倍(セシウム)と仮定します。
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・降下物の放射能測定(新宿)
 東京都健康安全研究センター
 http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/


・大気浮遊塵中の放射能測定(世田谷区深沢)
 東京都産業労働局:ホコリのみ?を捕集する→ガス状のヨウ素は過小評価??
 http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/whats-new/measurement.html


※大気中放射性物質のモニタリングに関する技術参考資料のp25では
  「粒子状ヨウ素は全体の20%程度、、」とあり、p65以降に詳しい。
  http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/RM1.pdf


※東電3月25日発表(第51報)の「現地モニタリング情報」p11~p16によると
  原発近傍では、ガス状のヨウ素131は粒子状ヨウ素131の約2~6倍程度?
  http://www.meti.go.jp/press/20110325006/20110325006.html


③こどもの1日の呼吸量10m3を用い、また室内に居る時間や鼻や気管でフィルターする
 ことなど考え50%が血液に取り込まれると仮定します。逆にヨウ素はガス状成分が多いと
 ゴミとして鼻で捕まりにくいですが甲状腺には3割くらいの集積と考え、大雑把に計算します。
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④次に「新宿の倍」の土に子供が触れた場合の皮膚の被曝を計算してみます。
 この図の様なモデルケースを想定してみました。
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⑤1日中汚れてもいないし風呂に入るとすると、急に何かの皮膚疾患が出る程の被曝とは
 思えません。と言っても1ヶ月で積算1mSvですし、セシウムによる被曝は蓄積してゆく
 ので皮膚の弱い人は気をつけた方が良いとは思いますが、、、
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⑥当然、確かな事は判りませんが、この1mSvの「外部被曝」よりは個人的には「内部被曝」
 の方が気になるわけです。呼吸に加え、事故当初は検査も管理もずさんでしたので、
 スーパーで福島、茨城、栃木、宮城産をある程度買って食べたとするとそれなりの
 蓄積はあったかもしれません。図は3月15日時点で1日あたりヨウ素200Bq、セシウム
 合計20Bq食べてしまった場合の体内への蓄積を計算したものです。まあまあいきます。
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⑦で、呼吸と食品を足すとさらに「まあまあ」いくわけです。図はヨウ素が当初1日200Bq、
 セシウム合計20Bqと40Bqだったパターンです。天然放射線のカリウム40の半分くらいの量
 がわずか10日程で甲状腺に溜まったり、2週間後からはセシウムが体内にどんどん溜まり
 もともとの2000Bqすら越えていきます。同じ試験を10万人の子供にやったとして、
 一切なんの症状も出ない、というのは逆に難しい様な気がします。
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⑧放射性ヨウ素が甲状腺に1000Bq溜まる事で放射線治療の様な「照射」は起きないと
 思います。ただ、何も起きないか?と言われるとそれは判りません。私は子供の
 内部被曝は1日1Bq以下のレベルで目標にすべきと考えていますが、もしも3~5月に
 なんらかの体調不良が起こった児童は、やはりそういうレベルを目指してみて、
 様子を見る(アトピーだったら保湿剤とステロイドなどで治療もする)という
 のが適切だろうと思います。
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