右上腕の転移が45mm程になって来たので(下図MRI参照)
高知大医学部での酵素標的・増感放射線治療を受ける事にした。
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と言っても、まだまだ臨床試験段階である為、当然に除外規定がある。
・単発癌、もしくは単独の転移であること。
・胸水、腹水、脳転移がないこと。
・概ねPSが2以内なこと。(治療に対応できること)
・他の選択肢、効果、リスクについて患者本人が理解できていること。
・過酸化水素水が注入でき、かつ腫瘍内で保持できそうなこと。などなど、、、。
6月の初診時には他に病巣があり適応外とされたが、その後の抗癌剤治療が
奏効した事もあり、今回(11月)は何とか適応基準に滑り込んだ。

同様の治療は東京放射線クリニックでも受けられるとの事で、その点は
高知大の小川教授からも「選択肢」として明確に紹介されたが、
「私の場合、骨に針を射す必要があるのでこちらの病院で御願いしたい」旨伝え、了解を得た。

上腕部の転移は昨年から自覚症状があったし、今年の2月頃からPET、骨シンチにも
淡く集積が見られる様になってきた。5月にMRIを取ると、3cm程度の変成部位が
確認されたが、CTやレントゲンでは、まだそれ程の異常は認められない、、。

・骨転移である事は間違いないが、集積の密度は比較的軽度である。
・主要臓器でも無いし、患者本人(私)が「いつ切断しても良い」と強く主張している。
こともあり、これまでは他の患部の治療を優先し、手を出さずにいた。

さらに、難しいのは上腕部の骨は「竹筒」状の構造で、石灰部が薄い為、
強い放射線を照射すると、間違い無く「骨が壊死する」と考えられており、
粒子線治療に持ち込むことが出来なかった。

すなわち「癌を治すと骨も溶ける。逆に骨を残すと癌は根治できない」という
「王手飛車取り」状態である。抗癌剤が多少効くこともあって半年程度様子を見た。
(4Gy×15回=60Gyを約束してくれた病院もあったがリスクを考えキャンセルした)

この間に検討を重ね、選択肢としては、
・3Gy×10回=30Gy程度のリニアック照射+抗癌剤かカテーテル。
・2Gy×25回=50Gy照射のリニアック照射+抗癌剤かカテーテル。
(それぞれの場合について一応ハイパーサーミアの上乗せも行う)
・肩から切断。
・人工骨置換術(周辺の筋肉やリンパも結構取る事になる)。などで結局、
「切断に近い手術」か?運が良くて局所制御率5割前後の放射線化学療法か?という印象。

理想的な線量分布は、
・骨の内外の腫瘍には根治可能性のある照射量で、
・ただし(上腕の薄い)骨だけは温存できる程度。であろう。

が、幾何学的なシュミレーションは可能だとしても、実際のビーム散乱や
2次電子の拡がり、空間的なマージン。等を考えるとフォトンを使う限りは物理的に
不可能であろうし「重粒子+ガントリー+スポットスキャニング」に加え「電子冷却」
ぐらいが実現しないと実際的にはムリだろうと思える。
(トモテラピーやノバリス担当医にも相談したが精度・強度ともに不充分)

、、等々の経緯もあり、今回は「そうだ高知、行こう」という事に決定。

入院前に用事があって九州から高知に移動。フェリーなんか絶対イヤ、、。とすると、
福岡空港(写真)から行くしかない。JALのみ就航、料金は高く便は少ない。最悪。
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「マジでこれで飛ぶの?」って感じ。ウッズの自家用ジェットの方がまだ大きそう。
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高知龍馬空港の滑走路で「下車」、てくてく歩いて出口へ、、。「米国の地方路線」って感じ。
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高知大病院到着。空港からタクシーで約2700円。
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病棟の風呂。夜9時まで入れ、かつ希望順なので全くストレス無く過ごせる。
お湯の出がハンパ無く、このでかい浴槽が2~3分で満タンになる。これまでで断トツ。
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病棟からの風景。山沿いの道路は高知自動車道。窓側ゲット。
大学病院な割には堅苦しくなく、病棟は非常に過ごしやすい。
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