こんにちは。森元です。
この間、村上春樹の「騎士団長殺し」を読みまして。
ブログをあまり更新していないので、この考察なんかをブログにしてやろうと思っていたのですがちょっとやめて(いや、今も書きながら迷っているのですが)、村上春樹自体のことを書こうと思います。多分そうします。
どうも「ハルキスト」という、言葉があるらしい。
僕はこの間までそんな言葉を知らなかったので、村上春樹を読んでいて後輩に「森元さん、ハルキストなんですか?」と聞かれても「何それ」と思ったくらいだった。
調べてみると、要は村上春樹のファン、特に小説の世界観や彼の発言に影響を受け、自身の聞く音楽やファッションまで変化させてしまう人のことを言うらしい。
もし「ハルキスト」の定義が上記のようなものであるならば、僕は絶対にハルキストではない。
僕は村上春樹のファンではないので、彼について小説以外のことは知らないし、彼の小説を読んで何か生活スタイルに直接的な影響を受けたことも(多分)ないし、最新作がいつ出るかもチェックしていない(今回はたまたま知り合いが「騎士団長殺し」を僕の家に忘れていったので、そのまま借りて読んだ)。
こんな僕がハルキストを名乗るなんて、生粋のハルキストに怒られてしまう。
ただ、僕の場合は本屋に行って、「あ、これ読んでねーな」と思ったら買って読んで、ということを繰り返していたらいつの間にか彼の長編小説は全部読んでいた。
そういう意味では、司馬遼太郎も伊坂幸太郎も太宰治も三島由紀夫も小室直樹もシェイクスピアもカントもユング…etcも、同じような作業を僕はしている。
しかし、客観的な意見として、ファンに「ハルキスト」という固有名詞がつけられるくらいなのだから(シバリストとかイサキストとかは聞いたことがないので)、一部の読者を強く惹きつける力を村上春樹の小説は持っている、ということは言えるのではないかと思う。
で、何がそんなにも一部の読者を惹きつけるのか、ということなのだが、これはなかなかに説明が難しいので、とりあえず他の作家の小説と比べて何が違うのか、いくつか挙げてみようと思う。
それでも具体的な答えが出てこなかったら…ごめんなさい(おい)。
① 物語に整合性がない
基本的に、「何があったから何があった」ということは一切ない。もちろん、「昨夜飲み過ぎたので今朝頭が痛かった」程度の整合性はあるが(それすらないと物語自体が成り立たない)、例えば最新作の「騎士団長殺し」では、主人公が様々な経験を経て、なぜ離婚届けに捺印までした妻に「もう一度やり直さないか」とお願いしたのか、全くわからない。主人公やその他の登場人物の心理的な行動原理の描写はほとんど存在しない。それは角度を変えれば、「全く何の展開も期待しなくてよい、数少ない小説の形」であるとも言える。
② 登場人物にほとんど変化がない
登場人物は、ほとんど決まった役柄を演じるかのように、その態度や雰囲気を変化させることはない。上品な人物はどこまでも上品で、不思議な人物はどこまでも不思議である。たとえ目の前で人が殺されていても、どの人物も自分の設定された人格を超えた反応をすることはない。もしも「リアリズム」の定義が「初期設定に忠実である」ということだとすれば、村上春樹の描く人物には究極のリアリズムが供わっているという様に感じる。(「リアリズムの定義」に関しては、また後日書こうかな)
③ 会話が厳密に会話ではない
どういうことかというと、例えば。
「そうですね、その方がいいかも知れません」
「でも考えてみれば、緊張が強いのはむしろ私の方かも知れませんね」
「しかしもし彼女の近くに寄ろうと思えば、そういう機会はおそらくつくれたでしょうね」
「ええ、もちろんです。そうしようと思えば、機会はいくらでもつくれたはずです」
「でもあえてそうはしなかった。なぜですか?」
以上はその「騎士団長殺し」からの抜粋。
…こういうことです。
こんな会話誰もしねぇよ!w
ちなみに5年ほど前に村上春樹の会話文について僕は「他の言語に翻訳されることをあらかじめ想像されている文体」だと解釈していたのですが(これもブログに書いたな、なくなっちゃたけど)、どうやらそうじゃないらしい、ということが最近の僕の解釈です。
…取り敢えず思いついたのを挙げてみたのですが、並べると村上春樹の小説は「物語の整合性が無く、登場人物に変化がなく、会話が厳密には会話じゃない小説」となりました。
当然、なにこれ、面白いの?となりますよね。
僕も最初「ノルウェイの森」を読んだときはそうで、なにこれ、面白いの?
と思ったわけです。
ただ、何かしら心に残ったわけです。
これはまだ「つまらない」と早計に片づけるべきものではないんじゃないか、と。
でいくつか読んでみたら、なんとなーくわかってきました。
やはりキーワードは物語性と文学性にあるみたいなのですが…長くなりすぎるので、次回!