誰よりも正しい生き方を貫く落としたソクラテスを刑死に追いやり、権力争いに明け暮れる当時のアテネの政治の中にプラトンは失望した。
そして理想的な正しい国家や人生のあり方を考えるために哲学の道に進む決意をし、やがてアカデミアと呼ばれる学院を開いた。
プラトンは哲学とは永遠の普遍的な真理を求めるものであると考えた。
人間が感覚によってとらえる物事は、常に変化し、やがて消滅する不完全なものであるとしている。
例えば、私たちが紙や黒板に三角形は、不完全で歪んでいる。しかし私たちの理性は完全で理想的な三角形を思い描いている。
プラトンは理性によって思い描く物事の完全な姿を実在するものと考え、それをイデアと呼んだ。
イデアは様々な物事の原型の模範となるものであり、私たちが追い求めるべき物事の理想的な姿である。
世界は感覚がとらえる、絶えず変化し、やがて消滅していく不完全な現象界と、それらの現象の原型となる完全で永遠のイデア界と言う2つの世界から成り立っているとしている。
プラトンの哲学では、物事があると言う認識は、生成消滅する流動的な感覚的なものについてはあり得ず、理性がとらえる恒常的な普遍のものについて成り立つと言う考え方がある。
理性の認識の確固とした対象となるものが、物事の本質としてのイデアなのである。
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