「甘利氏は、2013年11月に大臣室で、2014年2月に神奈川県大和市の地元事務所で、千葉県内の建設業者の関係者からそれぞれ50万円を受け取っていたことを認めた。この計100万円については、のちにまとめて同社からの寄付として、地元選挙区支部の政治資金収支報告書に記載されているとしたが、地元事務所の秘書が別途受け取っていた500万円のうち、300万円を適正に処理せず、個人的に使っていたことが分かったと明らかにした。
その上で「私の政治活動の基盤である地元事務所及び秘書の問題で、国民の皆様に大変恥ずかしい事態を招いてしまった事実が判明しました。国会議員としての秘書の監督責任、閣僚としての責務、および政治家としての矜持に鑑み、本日ここに、閣僚の職を辞することを決断しました」と述べた。」(ハフィントンプレス1月28日)http://www.huffingtonpost.jp/2016/01/28/amari-resign_n_9096040.html?utm_hp_ref=japan

(金銭授受問題の記者会見で、辞任を表明した甘利明経済再生担当相=28日午後、東京・永田町 撮影日:2016年01月28日 | 時事通信社より引用)
政治的タイミングとしては、むしろ遅すぎたくらいで、このままズルズル居すわれば、鬼の首をとったように民主党や共産党といった連中らに騒がれるだけですからね。
勢い込んでいた野党は、前につんのめった形です。
気の毒ではありますが、甘利氏はこれで、TPP交渉最大の功労者でありながら、署名式典には出られないことになります。
会見の詳細は、以下でご覧いただけます。
※http://www.sankei.com/premium/news/160128/prm1601280010-n1.html
「国政に貢献をしたいとの自分のほとばしる情熱と、自身の政治活動の足下の揺らぎの実態と、その落差に気が付いたときに、天を仰ぎ見る暗澹(あんたん)たる思いであります」
一流の能力を持つ政治家らしい、情感のこもった名文句です。再起を期待したいところです。
それはさておき、昨日発売の週刊文春の最新号で、注目すべきことが浮かび上がりました。
告発者で建設会社薩摩興業側の総務担当と言われる「一色武」氏が、甘利の父親時代から甘利家に出入りしていたようです。
「一色」氏はこのように述べています。
「私は二十代の頃から主に不動産関係の仕事をしており、甘利大臣のお父さんで衆議院議員だった甘利正さんとも面識がありました。
明氏と初めて会ったのは、まだ大臣がソニーに勤めていらっしゃった頃かと思います。正さんのご自宅には何度もお邪魔したことがあります。
甘利家とは、昔からそんなご縁があり、私は清島氏が大和事務所に来るかなり前から、甘利事務所の秘書さんたちとはお付き合いさせていただいていました」(文春最新号より)
つまり、「一色」氏は甘利氏とかなり前から既知であり、甘利氏がそれで顔見知りに気を許したということがひとつ。
そして、その顔なじみを最大限に利用して、「一色」氏がなんらかの目的で甘利氏の大和事務所に出入りしていたというわけです。
「なんらかの目的」というのは、もちろん「一色」氏の本業である恐喝です。
昨日にも見た「一色」氏から、甘利事務所への政治献金です。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/151127/1134200117.pdf クリックすると大きくなります。
右端の献金者の住所欄にご注目下さい。神奈川県秦野市南矢名のマンションとなっています。
実は一色氏はなぜか、ここに実体のない会社をもっていて、今はもぬけの空だそうです。
あれこれ、彼は千葉県白井市の薩摩興業の総務担当だったんじゃ、なかったんですかね。。。
ところがこれも肩書偽装だということがバレています。
薩摩興業に電話すると、「一色?そのような者はおりません。第一、10人たらずの会社ですから総務担当などという者を置いておりません。今の週刊誌記事に加担したように書かれて、迷惑しています」とのことです(苦笑)。
また、そもそも「一色武」という名前自体からして実名ではない、という一部報道も出ましたので、先程から彼の名には括弧をつけて記しています。
まったく、なにからなにまで虚偽というのがこの「一色武」という人物です。おいおい!と言う話ですよ。
ストーリーは、おそらくこんなものだったと思われます。
現時点では憶測の域を出ないという前置きつきですが、「一色武」という偽名を使った人物が、恐喝目的で「薩摩興業総務担当」という虚偽の肩書を使い、「千葉県に甘利氏後援会を作る」として大臣に接近しました。
「一色」は、大臣との古い顔見知りということも大いに利用し、甘利氏側は気を許してしまったのでしょう。
そして言葉巧みに大臣の大和事務所所長の清原健一氏に近づいたわけです。
大和事務所に出入りする口実に、一回一万円ていどの少額献金をしていたのが、上の政治資金報告書の記載です。
清原も、献金してくるし、大臣の若い頃からの知り合いということで、気を許してしまい、いつしか「一色」の接待アリ地獄にはまっていきます。
その様を「一色」は膨大な領収書や、遊興している写真などの証拠として残していったと思われます。
典型的な恐喝のやり口です。
この時に「一色」が使った神奈川の工作拠点が、この秦野のマッションの一室です。
そして、時が満ちたと判断した「一色」は、URの仲介話を餌にして、一気に大物を釣り上げようとしました。
「一色」の獲物は、URからの巨額補償金と、それをネタにして甘利側を恐喝して、多額の金をむしりとることでした。
「一色」が盛んに「5億取れる」と吹聴していたのは、このような性格の金でした。
ところで、問題はこのURとの交渉です。
清原がいくら奢ってもらおうと、まったく犯罪を形成しませんが、URと薩摩興業との間の補償金話に便宜を図ったとなると、あっせん利得罪が成立してしまいます。
つまり、斡旋利得罪が成立するかどうかが、この事件の法的な最大の問題となっていくのです。
これについて1月29日付の産経新聞はこう報じています。
「国土交通省は28日、前住宅局長が甘利明氏の秘書と3回接触していたことを明らかにした。口利きなどはないという。一方、都市再生機構(UR)は同日、秘書らと計12回会合していたと公表。うち9回で千葉県の建設会社との補償交渉の話が出たが、補償額に関する要請はなかったという。
国交省によると、前局長は昨年3月、甘利氏の秘書から問題の補償交渉の有無について問い合わせを受けた。前局長は秘書に返答した記憶がなく、職員やURに指示をしていないと話している。同年7月には、URの担当者の連絡先を聞かれて数日後に教えた。
URによると、URの担当職員らは平成25年6月~今年1月、甘利氏の秘書ら計3人と計12回の会合を持った。場所は、甘利氏の地元事務所で6回、議員会館で4回など。9回は補償交渉の事実関係の説明などが行われた。
URは補償額について、会計検査院の検査を受けていることも明らかにした。」
要するに、清原とURの職員は何度か会っているのは確かで、「その席で補償金の話が出たのも事実だが、補償額の話ではなかった」、とURは言っているようですね。
補償金額についての妥当性も、ただ今、会計検査院という日本で一番優秀な官庁が洗っているそうですから、そのうち分かるでしょう。
私の予想はこうです
ダダーーーン♪「清原アウト!」
おそらく薩摩興業と「一色」が有利に運ぶような話を、UR側に口をきいてやったと思われます。
そして、清原は、大和のレトロな喫茶店で、その見返りの現金を「一色」から受け取り、文春の記者に写真まで撮られてしまったというわけです。

さて、ここで、この事件のもうひとつの本質的問題が浮かび上がります。それは、ベッキー川谷関連にも関係してくるんですが、週刊文春の報道倫理からの逸脱という問題です。
このように見てくると、文春の取材方法は、「一色」の正体も、今、この男がやっている巨額の補償金詐欺と恐喝行為の実体も知りながら、あえてその犯罪の同伴者として取材をしているんではないか?という点です。
犯罪行為に加担する報道は、許されるべきなんでしょうか。私は大いに疑問ですね。
週刊文春という歴史の古い日本最大部数を誇る週刊誌が、スクープを取りたいた為に、犯罪行為を知りながら容認しているというのは、余りにも悪質極まりないのではないか。
今回の文春は、「一色」の詐欺・恐喝に深入りしすぎており、報道の域をはるかに超えて、もはや「共犯者」そのものです。
このような報道手段が今後も許されるのなら、自社のエージェントを使って支持者を騙り、現金や接待漬けにして、それをネタにしてスキャンダル報道に仕立て上げる自作自演だって可能になってしまいます。
所謂「おとり捜査」のメディア・バージョンです。
会見でも甘利さんも聞かれていましたが、支持者を装って接近された場合、政治家はいちいち身辺調査することは不可能ですから、事実上ブロックする術はないでしょう。
このように見ると、今回のこの甘利疑惑事件は、文春の犯罪幇助といってもいいようなコンプライアンス違反な事件だったようです。
私はハッキリ言って陰謀論者ではありませんが、この事件の背後にはもっと大きな謀略工作が隠されているような気がするんですよ。
この甘利氏事件の後味の悪さは、第2の中川昭一氏事件のように思えるからのようです。
朝日新聞は「これで幕引きにはできぬ」と言っていますが、今回は珍しく意見が合いました。
そのとおりです。この「一色」による恐喝・詐欺事件の裏になにがあったのか、「幕引き」にはできませんね。