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logic life OF lies

趣味ながらに小説とか何か思いついたのをぼちぼち投稿しようかな?と思っていたり思わなかったり。
あとは…気まぐれで絵とか日記とか載せようかと。


『うわー!華純が来たぞ!皆、コイツに触られたら菌が移るぞー!』
『こっちに来ないでよ。変な子と一緒にいるって勘違いされるじゃん。』
いつもいつも。私を見て笑って馬鹿にして…。必ずそうやってからかう奴が1人や2人いて、伝染する。私の事を知れば知るほど、離れていく人は増えるだけ。

「何がおかしいの?」

そう。私は普通に過ごしてるだけなのに…つもりなのに。どうして世間は私を差別するのか理解できない。
そんな私に光をくれたのは、イラストから外へ飛び出したような3Dの世界。初めての感覚だった。私がどんな姿をしていようと、似ていれば…似合っていれば皆喜んで笑ってくれる。私を馬鹿にする人なんて1人もいない。最高の居場所。

『…お前にはこれが似合うんじゃね?』

初めて『コスプレ』として着た服はある人からもらったお姫様のようなドレスだった。
それから、…それから沢山の人に声をかけられてコラボや服の提供、メイク術の紹介…。私の道が開けたのだ。

「コスプレのファッションショー?」
「そうそう。華純ちゃん出てくれれば観覧者も増えることだし…お願いできないかな?」
「テーマがあるんですよね?…うーん。わかりました、参加します♪」
「ありがとう!助かるよ。」
コスプレのファッションショーがあることは知ってた。だけど、決まってテーマが存在して私の邪魔をしていた。今回のテーマは『王子と姫』。これならと承諾。出るからには誰よりも輝きたい。実際、ファッションショーとは名ばかりで本当はコンテストだ。
「王子様探ししなきゃな~。」

次の日、私はオリジナルの衣装を着て外を出た。自然に周りに人が寄ってくる。この中でいい人でも探そうか、と思っていた矢先。私の目が一点を凝視した。
目を奪われる。自信家の私ですら、怖気づきそうな存在に感じてしまったから。そして決断した。

……あの人がいい。

私の本能と理性が一致すると、すぐさま人混みを掻き分けて「王子様」の元へ突撃した。
抱きついた感覚は、男にしては少し痩せ気味(?)で、何を着せても似合いそうだと思った。

突然の事で驚いている王子に早速お願いする。私の誘いに断る理由などない、と自信はあった。
けど、返事はNO。正直悲しみよりも悔しさが込み上げた。
涙を零すと、いつの間に集まっていたのか周囲のファン達が王子に対して激怒した。
(王子は悪くないよ。でも、私も悪くない…。)
止める理由がなかった。これで王子が私の元へ来るのなら少しは目を瞑るつもりだ。
しかし、目の前に男が現れて王子を私から離す。やっぱり王子はそれなりの地位を持っていた。それでも身を引く気はない。
王子のマネージャーらしき男に交渉して、なんとか王子との参加の許可をもらう。そして笑みが零れた。

「確実に、あなたを振り向かせる自信あるよ…。王子様♪」


「コスプレ…ですか。」
「衣装は何かあっちで用意するらしいんだけど、……見るからに不満そうだね大喜。」
「そりゃ不満まみれですよ。」
夜。あいつから離れて直ぐに俺は部屋に篭った。外から太陽の光が見えなくなった頃、子鹿さんが帰って来たと思うとこの話。
「あいつに似合う服なんですかね…。」
「さぁ、どうだろう?でも、涙は何着ても似合いそうだけどね。」
「そうなんですけど…。」
そう、あいつはきっと何を着ても似合うんだろう。どんなにバランスが悪かろうと…。
何が気に食わないのか。その答えは簡単だった。
(俺以外の奴の服なんて…。)
これが世に言う『嫉妬』か。それとも『恐怖』か。
どちらにしても納得は行かなかった。
「ショーは一週間後。衣装は出来次第合わせるらしいから…、その時に大喜の意見言ったらいいよ。僕は当日まで楽しみにしておく♪じゃあ、スケジュールの調節とか、仕事漁ってくる。」
「わかりました。」
子鹿さんが出ていくと、早速ペンは紙に乗る。

「全部俺のじゃなきゃ…消える。」

何日経ったかわからない。ずっと部屋に篭ってたせいか日時のズレが生じていた。

Pururururu…──

「はい、もしもし。」
「あ、大喜?衣装の方準備できたみたいだから合わせするって。涙の方にも連絡しといたから、もうしばらくしたらそっち行くと思うよ。じゃ、頑張ってね。」
「わかりました。失礼します。」
カレンダーを確認して丸二日、一心不乱にデザインを紙に閉じ込めていたようだ。でも止めようがなかった。

しばらくするとドアがノックされた。
「大喜?」
「…久しぶりだな。」
「あ、うん。…それより、疲れてない?」
涙に言われて気づいたが正直疲れていた。
「人の気遣うことできんなら、まず自分のことを考えろよな。自分の体調は自分が一番わかってる。…ちょっとここで待ってろ。シャワー浴びてくる。」
「わかった。あ、急がなくてもいいよ?ゆっくりで。」
なんで俺はこんなにも冷たい言葉をこいつに投げかけてしまうんだろう。本当はもっと優しく…優しく接したいのに。
「はぁ…。」
降り注ぐお湯が髪を濡らしていく。

『素直な君に…、勝手に惹きつけられてしまうんじゃないかな?その純粋な心が羨ましいよ。でも…──』

「素直、ね…。」
自分自身ではわからない部分を道化師は教えては褒め散らかす。
いい気になった観客は、皆褒め慣れてない奴らばっかり。俺もそう…。だからまた来たくなる。褒められたくて…、また逢いたくて。

「待たせたな。」
「ううん、全然?」
「お前、コスプレってなんだかわかってないよな?」
「えっ、なんで知って……うん。わからない。」
やっぱり、と心の中で呟く。
夢で知者なら、現実では無知者か…。
「わっ…。」
「これ、被ってろ。」
キャップを深く涙に被せる。あくまで「もしも」の為だ。
沈黙の道のりは長くて気が遠くなった。何を話せばいい?何をしたらこいつは喜ぶ?…思いつかない。
それでも隣にいてくれるこいつの気持ちがわからない。
なんで?俺はお前にとってなんだ?何を考えてる?

『でも…君は考えすぎだよ。理由が無い時はどうすればいい?理由が必要?理由がなきゃ、君はダメなの?』

「…考え、すぎか…。」
「え?何が?」
「いや、…なんでもない。ほら、ここだ。……たぶん。」
「……うわぁ。」
こんな目立つ建物を見たのは初めてなのに、よく今まで目に入らなかったと感心までした。
「すごい、ね。何か。」
クスリと笑い出した涙を見て、つられて笑う。
なんだ、普通じゃないか。何も変わらないんだ。…何も?

「あ、涙!待ってたんだよ~!」
「華純ちゃん…、あ…ありがとう。」
こいつが例の奴か。と観察をする。
確かに…、涙と同じように魅力はある。引き出せる要素はたくさん、そして既に完成された性格設定。総合的に上位だ。それでも興味が湧かないのは、涙が隣にいるせいか…。どんなに上位だろうと、涙はその天辺だと心の中で呟いた。
涙との会話が終わったのか俺の方に目を向けた烏桓華純は、目を丸くして固まった。
「あれ…?『大喜び』?」
「は?」
「『大喜び』だよね!うわー、まさか涙の服作ってるのって『大喜び』なの?!羨ましい!」
突然のスキンシップに戸惑いを隠せない。
「…え。もしかして覚えてない?」
いつの話なんだろう…。俺は、わからない。


『もうヤダ…。』
『何泣いてるわけ?泣くなら家とか誰も見てないところで泣けよ。』
『……私に構わないでよ。この気持ちが君にわかるはずないんだから。』
『そりゃそうだな。で?なんで泣いてるわけ?』
『なんで君に話さなきゃいけないの?赤の他人のくせに。』
『俺は柴田大喜。お前は?』
『えっ…烏桓華純。』
『ほら、これで赤の他人の中でも知り合いに入るだろ。』
『変な人…。…へぇ、大喜って書くのに全然大喜びしてないね。君のこと、大喜びって呼ぼ。』
『変なあだ名だな。まあ、いいけど。』
『大喜びは本当に変な人だね。』
『この世の中、みんな変で普通なんだよ。でも…その中で変って思われた奴は特別な存在だろ。』
『ふーん。…その考えも変。…でも、素敵だね。』

『お前にはこれが似合うんじゃね?』
『え?なにこれ…。何処で…?』
『俺が作った。お前に似合いそうだから。好きだろ、こういうの。』
『うん!ありがとう、大喜び!』

変な人。あの時の思い出は忘れてしまったんだね。
でも、私は覚えてるよ。素敵な素敵な思い出だから。