相続でもめることは多いと思います。故人を近親者で同じように同じ度合い

で偲ぶことができたら本当にそれが一番だと思うのですが、遺書が特にない場合の相

続で兄弟が多いともめるケースも少なくありません。現に、最近私の知人が父親を亡

くしたケースでは、遺書がなかったために知人は相続するものも何もありませんでし

た。ただ、その場合には父親が再婚していたのでその奥さんが父親の長男である私の

知人には一切相続するものを与えなかったということになります。ふつうなら、相続

は子供で均等に分けるのが常ですが、このケースの場合には奥さんから知人に相続の

件での連絡が一切なかったのです。知人が申し立てをすればよかったのでしょうが、

悲しみの中で義理の家族との関係でさらに負担を感じるのが嫌だったようです。

 

身を引いたという形に見えました。父親の遺書がなかったという時点で、私はとても

知人が可哀そうになりました。知人は長男だったのですが、本当の父親から結局何も

残してもらえなかったのです。相続するものは、お金だけではないはずです。生前に

故人が大事にしていたものや、譲り受けてほしいものなど、いろいろなものがあるは

ずだったのに彼には何も残してもらえませんでした。それどころか、彼の義理母にあ

たる、父親の再婚相手からは、父親に借金があったとまで言われたそうです。父親が

亡くなってから知人は何度もその家庭に足を運び、残務処理をしていましたが、とて

も可哀そうでした。彼の父親は彼がまだ17歳の時に離婚して家を壊して出ていって

しまった人です。そ

 

の人が再婚して新しい家族を作って再び彼の前に現れ、父親だと名乗っても、彼に何

をどうすることができたのでしょうか。相続するということは常に近親者の思いを引

きちぎる可能性のあることなのだなと強く感じた出来事でした。