『プリオン説はほんとうか』 福岡伸一
やっと・・・!やっと読み終わったよー
しんどくて、何度めげそうになったか。
でも読み終わってやってくる爽快感は格別ですな
狂牛病・ヤコブ病の原因(病原体)として、もはや世界の常識となっているプリオンタンパク質。
でも、病気の原因がタンパク質だなんて、本当にそうなの?
って
ノーベル賞を受賞したプリオン説の妥当性を再検討している本です。
なんでそんな本を読んでるのかって?突っ込まないでください…。
ケロに「なんでタンパク質の本なんか読んでんの…?理解できない。」と一蹴されたのでもう充分です。
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(以下、全く無知の分野についてのまとめなので、多少の間違いは勘弁してください。)
ほら、普通、病原体って言ったら、ウイルスじゃん?
ウイルスはDNAを持ってるよね。
そのDNAから、RNAを作り出して、タンパク質を生成する…つまり、タンパク質は一番下位の物質なんだけど、
それこそが病原体だ!!って言いきっちゃったのが、プリオン説なんだって。
でも、
いわゆる狂牛病って、牛で見つかる前から羊でも起きてることが確認・研究されてて、バージョンはスクレイピー病っていうんだけど…
最初の狂牛病は、スクレイピー病にかかった羊を使った飼料を食べて発症したって研究結果がでてて、
タンパク質を食べて、それが分解されずに脳までたどり着いて増殖する可能性は怪しいし
タンパク質が増殖するなら、感染性は時間経過とともに増えるはずなのに、正比例の関係になってないし
感染性がまずリンパにいくっていうのは、ウイルス説を疑う余地もあるし・・・・・・・。
といったように、
タンパク質だって考えると説明が複雑困難になることが山のようにあるらしい。
あと、そもそもプリオン説は、病原体を確定するための研究上の大原則を満たしてないって問題もあるんだって。
だから、タンパク質だって決めつけてしまう必要はないし
寧ろ、積極的に他のアプローチをしてった方がいいんじゃないかって話でした。
なんでこんな話をしてるのかって、
プリオン説を踏襲した現在の狂牛病対策では不完全かもしれないから、です。
怖い。
じゃあなんで、そんなスカスカの理論がノーベル賞受賞しちゃったのよ・・・
って気分にもなるけど、
そこは、プルシナーの巧みなメディア戦術と、巧みなデータ工夫と、
プリオン説に対抗できる有力な説が出てこなかったから…らしい。
ウイルス説に立ってた人たちも、肝心のウイルスを見つけることができなくて
「タンパク質なんだから、そもそも見つかるわけないじゃん。」
ってプリオン説にやられてしまったらしい。
「当たり前だと思っていることが、当たり前とは限らない。」
という姿勢を座右の銘にしている研究者がいたけど
まさにそうなんだろうなと思った本でした。
ノーベル賞まで取っても、世界に認められた風になっても、
真実は別のところにあるかもしれない。
人は、往々にして見誤るから。
『生物と無生物のあいだ』でもあったな。
科学者は自分の確信や先入観があると、それに沿った答えを導き出そうとする傾向にあるから、
野口英世が発見した梅毒の病原体も本物じゃなかったみたいに、
自らの考えに囚われて、真実を捉えられないこともあるのではないか。
21世紀の科学をもってしても、
まだまだ解けない謎は数え切れないほどあるんだということ
既知の事実も、真実に辿り着けているとは限らないということを
認識しなくてはならないんだなと
ちょっと思った。