生まれたての赤ちゃんが満足に立って歩けるようなるまでの7年間は、魚類~人類に至る5億年にわたる脊椎動物進化の歴史を辿る7年間です。赤ちゃんは5億年の進化の各段階を7年間で一つ一つじっくり歩んでやっと人間になる事ができます。特にハイハイの時期はとても重要です。

 生まれたばかりの赤ちゃんは陸に打ち上げられた魚と同じ状態です。破水・出産を経て胎盤を通した呼吸から一気に空気呼吸への変換を行い、同時に羊水という浮力のある環境から水中の6倍もある重力に晒されます。空気呼吸と重力作用に適応するために赤ちゃんはしきりに手足をばたつかせます。

 それからしばらくすると、うつ伏せでの「腹這」いを行います。ちなみにハイハイには「腹這い」と「四ツバイ」があり、最近ではどちらも区別される事無く使われていますが、進化のステージで考えれば全く異なります。腹這いの動きは最初に陸を歩き回った両生類の運動様式で四ツバイになると爬虫類の歩行様式です。そしてこの腹這いと四ツバイの時期というのが脊椎動物の進化に於いて最も重要な時期です。なぜなら、脊椎動物が上陸する時期だからです。上陸を機に呼吸様式と骨格の形状、運動様式が激変します。進化の段階を辿っている赤ちゃんの発達に於いても同様に、初めて重力に抵抗して動き回り歩き回るための第一歩という重要な時期です。

 両生類の歩行パターンは右手と右脚、左手と左足と言うように同側で前進します。この動きは、赤ちゃんの腹這いの動きと同じで、5~6ヶ月の赤ちゃんに観られる、頚が向いた方の同側の手足を伸展し、対側の手足を屈曲する「非対称性頚反射」と同じ運動のパターンです。(下の図参照)このように赤ちゃんは進化の段階を辿って発達していきます。

 図1             図2

図1※三木成夫「生命形態学序説」から抜粋。図2※イラスト出典; Sally Goddard "The Role of Primitive Survival Reflex in the Development of the Visual System" Journal of Behavioral Optometry 1995 volume 6/2

 同側パターンを習熟し、基礎的な手足の筋肉と運動能力を獲得すると、今度は爬虫類の交差性のパターンに移行します。このように腹這いは四ツバイさらにつかまり立ち、交差パターン歩行、二足歩行に至る土台となるべく重要な運動学習の期間です。

 しかし、最近の母子手帳ではこの腹這いの指標が明確にされていないようです。また、赤ちゃんの顔が床や絨毯につくのを嫌がる親や、よだれで汚れるのを嫌がる親もいるようで、腹這いをする機会が減っているようです。腹這いは赤ちゃんが歩けるようになるための単なる通過点ではなく、自分の体の使い方を学習するための大切な学習期間です。これをすっ飛ばすと、その後の発達に影響すると思われます。

  当院で見かける学習障害の子供の特徴は、同側性の運動はできますが、交差性パターン運動ができない子供を多く見受けられます。このような子供でも何度もハイハイさせると交差運動ができるようになります。

  脊椎動物進化の各段階を一つ一つ飛ばさずにじっくり歩んで行かないと、人としての十分な発達は望めず、適当に省くと、どこかで手痛いしっぺ返しがあるかもしれません。そして「這えば立て立てば歩めの親心」が決して赤ちゃんにとってもいい事だとは限らないようです。
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