その「廃屋」は「赤い橋」からほど近い場所にある。
車はさらに山奥へと進んで行く。
道もだんだん細くなり、本当にこんなところに民家があるのかと思うくらいだ。
相変わらず私は途中から顔を下にうつむけて目を瞑っていた。
一家惨殺事件があったと言われている通称「Aさん家」。
父親が発狂し幼子までも手にかけ、自身は風呂場で自害したと言い伝えられている。
そして訪れた物が何かを持ち去ると「かえして」と電話が来る…という、
心霊スポットあるあるの逸話がある。
先輩の説明によると、
そして、一家の魂が眠ると言われている墓地が隣接されているとの事。
そうこうしているうちに到着。
道路から少し斜面を登った所に「Aさん家」はあるそうだが、
私はまた足が動かなくなってしまったので、車内で待機することになった。
周囲の木々はサワサワと不気味な音を立てて揺れている。
真夜中の山中であれば不気味さはなお増す。
辺りには不気味な気配がする。
家とは反対の道路向こうから何かがこちらを見ている。
どのくらい時間が経っただろうか。
一瞬、耳元に息がフッとかかった…!
びっくりして目を開けた私は驚愕した。
ヘッドライトに照らされた大きな枯れ木の枝の隙間から白く透き通ったたくさんの手が伸びていた。
まるで白い花が咲いてるかのようでした
ところが、待っている間にも手の数が少しずつ増えてくる…
「Aさん家」もなかなかですが、その周辺もかなりのもの。
“集まってきている”
そう感じ始めた時、やっと2人が戻ってきた。
でも何だか様子がおかしい。
2人ともぼぉ~っと呆けている。
ああ、これはマズいと思い大きな声で運転席の先輩の肩を叩きながら、
「先輩!早く車出して下さい!!お願いします!」と何度か言い、
ハッと我に返った先輩は急いで車を発進させた。
走り出した車体にパラパラと無数のナニカが触っているかのような音。
しばらく走ってパタパタ音もなくなり、
呆けていた友達も徐々に我に返りだし「Aさん家」での事をポツポツと語り始めた。
壁も落ち崩れ骨組みがむき出しになった朽ち果てた家屋と裏手には墓地があったが
さすがに怖いので墓地には近づけなかった。
赤い橋での出来事で2人ともテンションが上がっていたので、
せっかくここまで来たのだからと2人同時に家屋に足を踏み入れようとなり、
「せーのっ」と足を踏み入れた瞬間、
空気の流れが止まり音が全くしなくなり文字通りの「無音」状態にだった。
お互い目を配らせながら歩みを進めたが奥に進むにつれてだんだん息も苦しくなってきた。
その辺りから今までの記憶があいまいでよくわからないと。
ただ耳が“ぼわぁ”となっていた事と足が重く変な感覚だったそう。
早く車に戻らないとと思いつつも足取りが重く意識もふわふわしていたとの事。
帰りの車内はポツリポツリ会話するだけで、行く前とは真逆。
最初に私を送り届けてもらいその日は解散となった。
が…
タダでは済まなかったようだ
心スポドライブから数日後、その友達からポケベルに電話してとメッセージが来た。
友達とは学校が別なので、「今日はサボりかw」と考えながら休み時間に公衆電話から友達の自宅に電話した。
なんとなんと、あの次の日に40℃の高熱が出てずっと寝込んでいたそう
やっと少し熱が下がったので先輩にも連絡したが返事が来ないと。
「あーこれはつんだなぁ」となり、
急いで私も霊媒師の先生の所へ行きしこたま怒られるハメになりました。
(その話はまたいつかします)
しばらく経って先輩から連絡が来てたので何かあったのかと尋ねたら、
翌日から発熱し1週間経っても下がらず、その後1週間入院していたとさ。
原因は不明らしい…
第四怪 赤い橋と廃屋はここまでです
ポケベルとか時代を感じるワードが出てきましたが気にしないで下さい
遊びで心霊スポットへ行っては行けませんね。
次回はどのお話を書こうかな
ではまた