こんにちは、かまちです!
「グイン・サーガ」
このタイトルを見ただけで気分が高揚し、ワクワクします。
故・栗本薫さんの書かれたヒロイック・ファンタジー小説「グイン・サーガ(本伝130巻・外伝23巻)」は、自分の四半世紀の人生を共にした壮大な「物語」でした。
自分の中では、世界で一番面白い小説として自信を持って言える作品です。
初代・イラストレーターの加藤直之さんが描いた「パロの真珠」(リンダとレムス)の表紙が印象的な「豹頭の仮面(第一巻)」との出会いは、高校生頃だったと思います。
マンガに飽きたらず面白い物語を求めて、小説にものめり込んでいた時期でした。
様々な小説に手に出していたのですが「グイン・サーガ」もその中の一冊でした。
自分が読みはじめた頃には、すでに「陰謀編(5〜10巻)」の途中まで刊行がされていて、出ていた既刊と外伝を夢中で読みました。
全巻、本棚にずらりと並べてあった「グイン・サーガ」も引っ越す際に残念ながら処分してしまいましたが当時購入した1巻「豹頭の仮面」はまだ、手元に残してありました。
自分が持っている「豹頭の仮面」はハンセン病絡みの改訂版。奥付を見ると改訂版の三刷(昭和58年5月発行)となっています。
既刊を読み尽くした後はリアルタイムで新刊をチェックして読んでいたと思います(あの頃はネットもなくて、書店で新刊をチェックしていました)。
大体、3ヶ月に1冊。
時には、小説にも関わらず月刊「グイン・サーガ」と銘打って3ヶ月連続で刊行されたことも!(記憶では一度だけ1年間刊行がストップしたことがあります)。
出会った1983年から栗本薫さんが亡くなられた2009年までの26年間ずっとお付き合いしていました。
まさにグイン・サーガは自分の青春だったのです。
「グイン・サーガ」の何が面白いかと言うと主人公である豹頭の戦士グインをはじめ魅力的なキャラ(イシュト、スカール、マリウス、ナリス、ヴァレリウス・・・あげればきりがありません)が次々と登場し、彼を中心とした人間模様が縦横無尽に織りなす面白さでした。
人々の喜び、悲しみが交錯し、時には別れ・・話が別の人物に移ると10巻以上も主人公が出ないのは当たり前でグインが久々に登場すると「グイン来た〜っ」ということがよくありましたw
全く違う場所で起きた「点」だったエピソードが突然グインを中心して「線」として繋がってくるのが本当に面白かった。今、考えるとあれが本当にカタルシスでした。
「グイン・サーガ」は、100巻を有に超える大長編小説ですがそれだけに様々なエピソードが大河のように折り重なっていく面白さをリアルタイムで直に味わえたのです。
特に第1巻「豹頭の仮面」で貼られた伏線が第67巻の「風の挽歌」で回収されたときは、涙を流して感動しました。
あんな感激と感動は、ずっと物語を読み進めた人にしか分からない感覚でしょう。
あの体験は他の作品では絶対味わえないものだと思います。
また、執筆が続き、作品を読んでいるとまるで栗本薫さんがグインの世界を幻視して、それを書き写してきたのではないかと思えるぐらい不思議な臨場感がありました。
あの世界の人物たちが本当にどこかで生きてるんじゃないかと感じたのです。
また、グイン・サーガを語る上で外せないのが歴代の絵師(イラストレーター)さんです。
加藤直之氏、天野喜孝氏、末弥純氏、丹野忍氏と錚々たる絵師たちが作品の魅力をより引き出して作品を楽しませてくれました。
全員、魅力的なグインのビジュアルを描いてくれたのですが骨太で重厚なイラストの加藤直之さんと現在、イラストを描かれている丹野忍さんの絵が自分的には大好きです。
・・それに対して、残念だったのがアニメ版と漫画版です。
あまりにも脳内イメージが強すぎでコレジャナイ感がありました(作者の方・・すみません)。
とはいえ、アニメは、ちゃんとまともに見ていないので機会があれば鑑賞したいと思います。グインの映像化に関しては、ハリウッド映画で予算をかけて作られた「辺境編」とか見てみたいですね〜っ。
いまのCG技術でグインを動かしたら凄そうです。
グインと出会った当時に話が戻りますがあの頃は、角川映画が全盛の頃で栗本薫さんの「キャバレー」という小説が野村宏伸さん主演で映画化されました。
地元・仙台でも映画公開に合わせたサイン会が行われ、栗本薫さんに直接、サインをしていただいたことがありました(握手はしたかな〜っ、覚えてないw)。
そのサイン入りの「キャバレー」も大切に手元においてあります(1986年!)。
そして、時は流れ、2005年4月9日に九段会館で行われた「グイン・サーガ」100巻達成記念イベント「百の大典」にも当選し、参加することができました。
この時には、東京に住んでおりこのイベントに参加できたことは本当に行幸でした。
会場で販売された「特装版」のサイン入り100巻は、今でも自分の宝物です。
高千穂遙さんとのトークショーや加藤直之氏、天野喜孝氏、丹野忍氏との対談、栗本薫さんの歌などファンにとっては、とんでもなく豪華なイベントでした。
アニメ化が発表されたのもこの時でした。
そして、その「百の大典」から僅か4年の2009年。
栗本薫さんの訃報を聞いた時には愕然としました。
もうあの物語の続きが永遠に読めないのかと絶望しかありませんでした。
まさか、2度とあのキャラたちの行く末が読めなくなるとは・・・四半世紀付き合ってきた物語がこんな形で幕を閉じるとは・・・
「グイン・サーガ」は元々、全百巻完結予定でしたが終わる気配は微塵もなく、まあ伸びるのは楽しみが増えるからいいかと軽く考えていました。しかし、壮大な物語は、作者が最後まで書ききれないという大きなリスクがあることを身を持って知ることになりました。
・・ただ、自分は死んだら栗本薫さんが書いた本伝の続きがアカシックレコードになっていて読めるんじゃないかと本気で思っています。
これは、死んだ後のお楽しみですね。
「グイン・サーガ」は現在、第三者(五代ゆう氏ほか)がその意志を引き継ぎ、本伝の続きが執筆されています。最初の方は目を通していたのですが栗本薫さんが執筆していた頃の吸引力はなく、自分の中では「グイン・サーガ」の物語は長いこと止まっていました。
・・ですがこうやって改めて自分の青春だった「グイン・サーガ」のことを記事として、書いてみると没後十年が経過して、、、別の息吹を与えられたグインたちの物語をそろそろ読むのもありかもな〜っと思っています。
ぜひ、新しい執筆陣には、栗本薫さんが完結巻のタイトルとして用意していた「豹頭の花嫁」までたどり着いてほしいものです。
現役世代が生きているうちにお願いします(笑)