Happy pursuit theory ~幸福の表現~

 *サイト説明*


 ここは現代文章ログサイトです。
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 現在携帯小説などのジャンルが新しく確立されておりますが、
 私は自分の書く文章を「小説」だと名乗るつもりはございません。本来の小説を読まれる方に違和感を覚えていただきたくないからです。(ただしランキングは都合上「小説」に参加させていただいております 土下座

 以下、このログに関するお話したい事項などを簡潔に書かせていただきます。


 *このサイトは「小説サイト」ではございません*

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 文章その作品ごとに表現の言い回し等おかしくしている場合があります。ご了承のうえお楽しみください。


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 ・基本的に現代ものが多いです。


 ・書きたい気分により、ファンタジーが出ることもあります。(根からのファンタジーは書けません。ご容赦ください



 ・恋愛ものか友情もの、人情もののみになります。


 ・話の流れ上、性的描写まではないですが、少し触れる場面が出る可能性がございます。その際、一番上に一言の注意書きを掲載いたしますので、自分自身の判断でお読みくださいますようお願いします。 土下座






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 長編



 3月のラヴレター


 航編 1.  2.   あい編 1.  航編 3.  4.  あい編 2.





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3月のラヴレター あい編 2.

  3月のラヴレター あい編 2.


 航がオーナーや私たちに切り出した。受験の対策などもあるから、あと一ヶ月でバイトを辞めさせてもらいたいと。

 航が受験するとはみんな前から知っていたけど、でもいざ言われるとちょっとだけさみしくて。


「あたしも進路いい加減決めないとなあ」


 そうぼやくと、オーナーが「最終的にはうちでフリーターでもいいよ」と笑った。「そんな勧めには乗りません」と私も笑った。



 航があと数週間でやめる時。

 オーナーと航と三人で入っていた時に、桐原さんが客として店に来た。姿が見えて、思わず表情や行動がこわばることがわかる。心臓の音が頭にまで響いている気がする。


「めずらしいねえ、桐原君がお客さんとして来るって」


 オーナーが笑いながら言う。

 少し和やかな感じだ。


「今大学の帰りなんです」

「遅いんですね」と、切り出してみた。

「ちょっと残っててね」と、桐原さんも笑みを作って言う。



「前うちで教えたところはどうだった?」


 桐原さんが笑みを作って聞いた。

 予想しなかったから、心臓が跳ね上がりそうだった。


「あ、おかげさまでわかりやすかったです、とても」


 でも顔には出さないように、極力冷静に返す。


「それはよかった」


 桐原さんは笑った。

 なんだか、今にも空を飛べそうな気持ちってこういうことを言うのかもしれない。


「今度もよかったら教えようか?」

「えっ!」


 思いもよらない言葉に思わず声を出した。

 航と声が重なって、思わず航のほうを振り向く。


「よかったらだけど」


 そんなことを言われて断る私じゃなかった。


「あ、あのっ!」


 航が叫ぶに近い声で言った。


「お、俺も一緒に教えてほしいっす!」

「え?」


 思わず航を振り向いてしまった。

 前は来なかったのに、どんな風の吹きまわしなんだろう?


「前来なかったから別にいいのかと思ってたんだけど」


 桐原さんが小さく笑いながら、同じように言った。


「え、あ…今、受験も近くなってきてるし。出来るならお願いしたいんですけど…」


 航の必死さがわかる。

 なんでそこまで必死になるのかよくわからないのもあるんだけど、少しだけ「嫌だな…」と思ってしまったのも、航には申し訳ないけど本当で。


「うん、いいよ」


 桐原さんは私の気持ちに反し、笑みを作って答えた。きっとすごく面倒みがいい人なんだろう。

 そんなわけで、航と一緒についていくことになった。




 ――桐原さんの家。


「なんかお茶でも入れよっか。ゆっくりしててよ」


 そう言って桐原さんは部屋から離れた。

 気遣いも出来て、やっぱりこういう人っていいなと思ってしまう。


「でっかい家だよな」


 航が笑みを作って言う。


「そうだよね。私も最初びっくりした」


 私も小さく笑って言った。

 ここで航に嫌悪感を抱くと場が楽しくならないので、割り切って思うことにした。

 ただ、航のほうは具合が悪そうに顔を真っ青にしている。急に具合が悪くなったのかな、と思った。普通に接しているつもりだけど、もしかしたら意識しない間に嫌悪が顔に出て嫌な思いをさせたかな、とも考えた。


「ト、トイレに行ってくる……」


 本当に具合が悪そうに航はトイレに向かった。

 なさけな~、と思いながら小さく笑った。


 航もいなくなり、一人きりになった部屋を見渡した。

 部屋の中に桐原さんのものがたくさんあって、なんだか居心地が悪くなってきた。どことなく場違いのような、そんな感じ。私の荷物と航の荷物があってよかった、なんてなんとなく思う。


 そんなことを思っていると、不意に桐原さんが机の上に置いて行った携帯が鳴りだした。思わずびくっとし、電話なのかと意識せずにディスプレイを覗き込んでしまった。


 そして頭の思考が止まった。


「メール着信  渡井 利代子」


 ディスプレイに名前が載り、そして「一着のメッセージあり」と言う言葉に変わった。


 体の中でドクドクと音がしているのがわかる。

 友達かもしれない。桐原さんの性格から、女性友達も多そうな気がするし。

 もし彼女だったとしても、私は彼女じゃないから口出しすることは何もないのだ。それに、ディスプレイを覗いてしまったほうが悪いに決まってる。


 頭の中でわかっていても、ドクドクという音は止まらない。


「ごめん、お茶の葉を探してたらちょっと時間がかかって」


 桐原さんがお茶を三つ持ってきた。

 心臓の音が止まらなくて、笑みを作っても微妙なものになってしまう。


「高橋君は?」

「トイレに行ってるみたいですけど……」


 返事も微妙な感じになってしまった。

 そうか…、と桐原さんはドア(たぶんトイレのほう)を見て言う。私の頭の中はそれどころではなかった。


「あ、メール来てるんじゃん」


 桐原さんが、点滅する携帯を見ながら手に取った。

 渡井さんと言う人が誰なのか、結局聞き出すことは出来なかった。



 航が戻ってきても自分の調子が戻ることはなくて。


「始めよっか」


 動きをとることを忘れたように固まってしまっていた私に、桐原さんが顔を覗き込んで言う。

 なんだか申し訳なくて、顔をあげて小さく笑った。




 帰り道。

 結局調子が戻らないまま航と一緒に夜道を歩いている。自分に対して嫌悪感に襲われる。


「わかりやすかったな、桐原さんの教え方って」


 口を開かずに二人歩いていた中、先に口を開いたのは航だった。


「そうだね」


 私も小さく笑った。

 私がついた、嘘。教えてもらってもほとんど自分の中に吸収されることはなかった。




 航がやめる一週間前。

 その日は桐原さんと航と私と、オーナー含め四人勤務だった。


「坊やもすくすく大きくなって、父さん本当にうれしいよ」

「誰が坊やで誰が父さんっすか」


 そんなオーナーと航のやり取り。結構和やかな時間だった。

 夜の九時を回り、ある程度落ち着いた中でお客さんが入ってきた。ここら辺では見ない女性だった。雰囲気は、アニメ映画「紅の豚」のジーナのような。そんな雰囲気の恰好。落ち着いた雰囲気の人だった。


 その中で一番驚いた顔をしたのは桐原さん。


「驚いた顔してるわね」


 女性が笑みを作って言った。


「メールで、そっちに行くって言ったのに」

「今日来たのかよ?」


 本当にその辺の連絡を入れないな、と桐原さんは小さく苦笑した。

 この空気の中に入っていくことも出来なくて、ただ眺めていた。


「知り合い?」


 オーナーが桐原さんに聞いた。


「あ…もともと地元で高校の同級生だったんです」

「渡井と言います」


 女性が小さくほほ笑んだ。

 その時、頭の中が破裂したようだった。


(この人が、渡井さん……)


 あまりのことに、思わず何も言わず表情も作らずに、ただ渡井さんの目をじっと見てしまった。

 その視点に気付いた渡井さんは、小さくほほ笑んだ。

 胸が締め付けられるようだった。




 *from yuki*


 新しい登場人物、利代子の見た目イメージはそのまんまジーナで考えましたので、キャラクター名をそのまま載せさせていただきました。

3月のラヴレター 4

 3月のラヴレター  航編 4


 あと数週間でやめる時のことだ。

 その日はあいと二人(オーナー含めると三人)勤務だった。その晩、ある程度落ち着いた頃に桐原さんが店に客として来た。


「めずらしいねえ、桐原君がお客さんとして来るって」


 オーナーが笑いながら言う。


「今大学の帰りなんです」

「遅いんですね」とあい。

「ちょっと残っててね」と桐原さん。


 ぼや~と桐原さんを見ていた。

 うーん、かっこいい男ってのは私服から違うものなのか…。そんなことをぼけ~と考えた。


「どこ見てる、高橋君」


 オーナーが笑いながら見てくる。

 なんだか一気に恥ずかしくなって気持ちを戻した。


「前うちで教えたところはどうだった?」


 桐原さんはあいに笑みを作って聞いた。


「あ、おかげさまでわかりやすかったです、とても」

「それはよかった」


 桐原さんは笑った。

 ぬるい空気が逆に自分をあわてさせる。


「今度もよかったら教えようか?」

「えっ!」


 あいと俺の声が重なった。意味は違うと思うけど。


「よかったらだけど」

「あ、あのっ!」


 思わず大きな声を出した。周りにほかの客がいなかったのが救いだと思うような声だ。


「お、俺も一緒に教えてほしいっす!」

「え?」


 桐原さんとあいが俺に振り向く。


「前来なかったから別にいいのかと思ってたんだけど」


 桐原さんが小さく笑う。


「え、あ…今、受験も近くなってきてるし。出来るならお願いしたいんですけど…」


 言葉が止まった。

 もしかしたら嫌だとか言われるかな、と考えた。


「うん、いいよ」


 桐原さんが笑みを作って言った。(きっとすごく面倒見がいい人なんだろうな)

 そんなわけで俺も一緒に今度はついていくことになった。



 とてもでかい家だ、と感想はそれだけだった。


「なんかお茶でもいれよっか。ゆっくりしててよ」


 そう言って桐原さんはリビングに行き、部屋から離れた。

 かっこいい男はこういう時の行動まで違うんだ、とその時に知った。だって、周りでこんなことをさらりとやってのける人って見ない。


「でっかい家だよな」


 あいに笑みを作って言った。


「そうだよね。私も最初びっくりした」


 あいも小さく笑った。(これで、機嫌を根っから害したわけじゃないと知ってホッとした)


 でも、なんだろうこの感じは。大きな家と、自分からついてきた癖に今になって少し後悔していること(「飛んで火にいる夏の虫」と言うことわざを思い出してしまった)が重なって、気分が悪くなってきた。


「ト、トイレに行ってくる……」


 あまりの具合悪さに、あいにそう言ってトイレに立った。

 あいは小さく笑った。



 具合がよくなったわけじゃないけど、ましだと言うところになったので部屋に戻ったら、桐原さんも部屋に戻っていて(お茶入れただけだから当然なんだけど)、ああしまった、とどこかで思ってしまった。


「具合大丈夫?」


 桐原さんが聞いた。

 あいは固まったままだ。何かあったのか?と思ったけど、思ったらこれ以上悪化しそうだからやめた(でも気になるけど…)。


「少しましになりました」と小さく笑いながら答えた。

「それはよかった」と桐原さん。


 あいは身動きもとろうとしない。

 さっきホッとしたところなのに、やっぱり機嫌損ねてるのかな、となんとなく気になる。


「始めよっか」


 固まったままのあいに桐原さんが顔を覗き込んで言った。


(ううううう……)


 自分からついてきた癖に、やっぱり居場所がない。

 自分の行動をこれほど悔やんだことはなかった。




 帰り道。

 送るつもりであいと途中まで歩いていたけど、互いに何も話さなかった。

 先に言ったのは俺だった。


「わかりやすかったな、桐原さんの教え方って」


 これは、自分なりの嘘。

 実際それどころじゃなかったし、こんなことなら自分で勉強すりゃよかったとすら思ったほどで。(教え方が悪かった意味じゃなくて、それを真剣に聞けなかった意味なんだけど)


「そうだね」


 あいも小さく笑った。笑顔を久しぶりに見た気分だった。



(誤字がありましたので訂正させていただきました  2009.08.29 yuki)

3月のラヴレター 3

  3月のラヴレター  航編 3.


 なんだかあいの様子がおかしい、となんとなくだけど思った。


 そう思ったのは桐原さんに誘ってもらったものをすっぽかした次の日のバイトからで。あいはなんとなくぼーっと桐原さんを見ていて、今まであまりそういうことがなかったからなんとなく俺はそのあいの視点を追ってしまって。そしたら自然と桐原さんにたどり着いた。


「なんか最近ぼ~っとしてね?」


 元凶である(と思われる)桐原さんがいない学校で疑問を投げかけてみた。それはもう自然に。


「え…え、そう見えるかな」


 あいがちょっと挙動不審。

 その様子を見て、疑問がさらに深くなる。あいは基本的に冷静な女だからだ。


「何かあった?」

「特に何もないよ」

「変じゃん」

「いや、航ほどじゃないから」



 あいがいない時に、彼女の友達である稲村に呼び出された。

 稲村はコンビニにもよく立ち寄る女子だから、オーナーやバイトの先輩後輩などにも結構知られている奴だ。


「ばっかねえ。あんたが好きだってそりゃあ、あいはわからないわよ」

「そ、そうかねえ?」

「あいって鈍感だから、基本的にそういうことに気付かないよね」

「だよねえ」


 納得の意味で深いため息をついた。


「あいがそれどころじゃないのは、高橋君どころじゃないからだと思うよ」

「どういうことだよ」


 聞き捨てならずに聞き返す。


「たぶんあい、今すごく恋してると思う」


 頭の中が一気にスパークしたようだった。


「……こ、恋?」


思わず口ごもる。


「……お、おれに?」

「ばあか、んなわけないっしょう」

「……だよな」


 誰に対してだろう。頭の中でグルグル考える。


「高橋君、気付かなかったの?」

「え?」

「相手、十九歳の人だと思うよ」


 再び、頭の中がスパークした気分だった。


「……あいが、言った?」

「聞いてないけど予想つくよ。コンビニで一緒のあいの様子おかしいでしょ」

「……」


 桐原さんと一緒の時のあいを浮かべた。

 確かに言われたらそう見えてくる気がした。俺も負けず劣らずの鈍感野郎だったのか…。


「まあ応援してるよ、負けないように」


 笑って言いながら走って去る稲村に、「ぜってー思ってねえだろ」と苦笑交じりにぼやきながら突っ立っていた。



 一回三人で入った時に、ちょっとだけ注意しながら見ていた。

 言われたら確かにそうとしか見えなかった。あいの様子がおかしい。特に桐原さんの近くに行った時が。そして桐原さんもまんざら悪くなさそうだった。


「負けないように」


 そう言った稲村を頭の中で思い出したけど、なんだかそういう問題じゃなくって、蚊帳の外にいるような気分だった。


 内心、少しドキドキしていることがあった。

 俺はもう少しで受験を考えてバイトを辞めようと思っている。

 あいは進路が決まっていないらしいから、あえてここで今受験のためにやめることはないわけで。もし彼女がこのまま残り、そして桐原さんとうまくいったら――。それを考えるのが怖かった。

 好きな人の「幸せ」を願うほどの人間になんて、なれなかった。