あれから20年
ずいぶん生き抜いたと思わない?
時々、貴方
確認しに来てたでしょ?
見えなくたって気配でわかる
俺をなめすぎ。
大丈夫
しっかり生きたよ
貴方のいない時間の方が
長くなっちゃったのはちょっと悔しかったけど
心で感じていた分を合わせたら、
計算できないや。
もうすぐ約束の時が来る
貴方のことだから迎えになんて来ないでしょ?
探しにいくのは慣れてるけど、どの辺に
いてくれてるのかな。
あぁ、もしかしたら
白鳥座の辺りにいたりして、笑
スゥーと身体が軽くなった瞬間
呼吸が楽になっていた
フワフワした感覚はとても心地よく
光の玉がたくさん降りてきて
俺を包み込む
ここに貴方がいたら
初めになんて言ってやろうか?
この道を貴方が辿ったのかと思うと
少し安心した
苦しくなかったんだってわかったから
下の方で騒がしく動き回る人々
色んな声で何度も名前を呼ばれている
その中に一際通る声がした
花火忘れるなよ
俺の一番大好きな声
忘れるもんか
やっと会いに行ける
一番に伝えたいこと
結局
貴方と同じだったみたいだ
モニターの音が止む
線香花火の一生のように
静かな終焉を迎えた
後に語り継がれるくらい
幸せそうに微笑んでいった
、と。
fin
