中々やまない雨・・・
窓に打ち付ける音が少しづつ小さくなる
しばしの沈黙の後
クスっと一瞬笑ったように感じて
奴の顔を見ると、じっと窓の方を見ていた
つられて俺も窓の方を見る
・・・・なんだこれ?
「・・・・・おひさま?」
いつの間に描いたんだ
なんか一人だけ楽しんでるなぁ・・・
『お日様、どう?上手く描けたと思わない?』
「まぁまぁだな・・・」
いつもならきっと
よく描けてるよ、ぐらいは言えてるのに
今日の俺は・・・少し意地が悪い
『・・・・続き話してもいい?』
いいも何も散々話してるじゃん
きっと今の俺って
不細工な顔してるんだろうな
「あぁ、でも聞くだけだかんな?だいたい俺に話したところで
何の解決にもならんぞ?」
『・・・そこは、最後まで聞いてからにしてもらいたいんだけど、』
「わかった、わかった・・・いいから続けろ」
そこから次々と語られる人物像は
男なんだか女なんだか
性別が全く分からない。
分からないが、こいつがその相手をものすごく
好きなことだけはよくわかった
俺の胸の奥のきゅう~~~~~っとした
痛みも、話を聞くたびに増していく
おいおい・・・・これじゃまるで
俺が見もしない相手に
やきもち妬いてるみたいじゃん
・・・・・・・・。
やきもち・・・・って
・・・・・マジか。
そういやぁ、
俺、こいつの顔がめちゃくちゃ好きじゃん
『でさ、その人って結構鈍いみたいで、たぶん今頃
のたうちまわってるかもしれないんだよね(笑)』
あぁ、俺も十分のたうちまわってる…こんなとこまで似るなんて・・・
「で、その人、なんでのたうちまわってるの?」
ここでまた、さっき見た茹でだこになる
可愛い顔しやがって・・・・
この、タコ…野郎
『なんでって、告白されてるからでしょう?』
「・・・・・?誰に」
『俺にだけど?』
「・・・・・いつ?」
『いつって・・・、そりゃ今に決まってんじゃん!』
・・・・・・???
『わっかんないかな???俺、今最高に恥ずかしいんだ・け・ど!!!』
・・・・・・・・・。
はい?????
俺は何をさっきから聞かされてるんだ??
『あのさ、ゴメン回りくどいのもうやめた!単刀直入にいう』
「たんとうちょくにゅう?」
『いいから黙って』
「お、お前何言ってるんだ??」
『だから、さっきから言ってるでしょ?俺は貴方が好きなんだよ!
いい加減気が付いてよ!!』
プシュー・・・・と何かが俺の中から抜けていく
ヘナヘナになっていく体がテーブルの端にもたれかかる
一気に力が抜けると人ってくにゃくにゃになるんだな・・・・
「‥‥み、水、水くれ」
余りの展開の速さ
かっらからに渇いたのど
声すらしわがれる・・・・
『・・・できれば、今返事聞きたいんだけど』
・・・・・・・・・。
おい、さっきから出てきた
タコはどこ行った?
なんだか自信満々で俺を見上げる顔も・・・・
・・・・・・・・。
たまんないだろう?
俺は・・・・やっぱり
こいつの顔が好きだ、くるくる変わる瞳も
俺に向ける笑顔も
キュウ~、キュッッキュ
俺は返事を書いた
おひさまと同じように
窓に描いた
恥かしいってお前は言うが・・・・
俺だっておんなじだよ
伝わるかどうかわからんがな(笑)
当分言葉になんてしてやらね~
のたうちまわったぶんおんなじ目に合わせてやる
『ー/////////.』
それを見て、やっぱり真っ赤に茹で上がったタコ
思わず頬が緩んだ
雨男も悪くない
すっかり冷めきったコーヒーのお代わりを
二つ注文した
今度はしっかり味わってみたいから
色々とな・・・・
終わり


