外はさらに雨足が強くなる
こりゃ本降りだな・・・・・
『好きな人ができた』
そう云い放つ目の前の男
俺は今までこんな顔見たことがない!
耳まで真っ赤になって茹でだこだ、
タコ、タコ!!!!!
急な展開に頭が追いつかない
と、とりあえずこいつと同じ
オーダーしていたことを思い出し、
一口すする
・・・・・・・・・。ぬるい
湯気が出ているのはこいつだけで
とっくに冷めていた俺のコーヒー
せっかくの味も台無しだ・・・・・
「・・・・あの、誰だって聞かないの?」
・・・・・・・。
なんだ、これは
俺は何を聞かされているんだ・・・・
もう一口冷めたコーヒーをすする
・・・・・・・。ぬるい
ぬるいが、今の俺には丁度よかったか?
温度を気にせず飲める
まずいけど・・・・・
なんだか気の抜けたビールのような
苦い味がこみ上げてきた
あぁ、あれだ
昔、好きな子がいて知らない間に
引っ越して行っちゃった時の感情に似てる
いや、それ以上か?
更に落ち着きがなくなったこいつに
俺は何を言えばいいんだ?
だいたい、なんで俺にそんな事打ち明けるんだ?
もっと他にいくらだって相談できそうな秀才たちが
いるだろうに、自慢か????
だんだんと訳の分からない苛立ちがたまっていく
カタカタとテーブルが貧乏ゆすりで揺れ出していた
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