※ 花暦シリーズでのお話になっています
今年もまた翔ちゃんが大荷物を抱えて帰ってきた
「・・・・・・・。」
まぁ、毎年の事だから大分慣れてはきたけれど
・・・・やっぱり面白くはない
たくさんの思いのが詰まった贈り物
義理もあるのだろうけれど
中にはもちろんまじめな思いもある
翔ちゃんの事だから
きっと悲しませないような一言を伝えて
受け取っているんだろうな
・・・・・・・。
にしても、多すぎないか???
翔ちゃんと僕との関係を知る人は少ない
相手が同性だって知られたら
きっと翔ちゃんの仕事に影響する
それだけは嫌だ
仕事をする翔ちゃんはとてもかっこいい
以前二宮さんに連れて行ってもらって
働く姿を見ることができた
かっこよかった
僕は仕事する翔ちゃんも
・・・・大好きなんだ
僕がそう思うように
きっと誰かも同じ思いを寄せているのだろう
その結晶を毎年たくさん持ち帰ってくる
・・・・・・・・。
やっぱり面白くない
「さ~とし♡」
そんな僕の想いなんかしらない翔ちゃん
少しお酒の入った翔ちゃん
翔ちゃんが酔うときって
加減してくれないから
僕はそれなりの覚悟がいる
贅沢なんだけど・・・
そういえば
二宮さんが言ってた
翔ちゃんが酔うと
フェロモン?ってやつが半端ないらしい
確かに、酔った翔ちゃんに
僕は勝てない(笑)
今日も、どこかで飲んできたんだ
フェロモンッてやつをまき散らして
人の気も知らないでさ・・・
・・・・・なんかムカつく
「あれ?ご機嫌よろしくない??」
いつものように僕を抱きかかえながら
イケメンの瞳で僕を覗き込む
・・・・・ずるい
大人の余裕ってやつだ、
抗えないの知ってるくせに・・・
翔ちゃんの胸に顔をうずめた時
何かが頬にあたった
カサッ
翔ちゃんの胸のポケット?
なにかが入っている
じっとそこを見ていたら上機嫌な翔ちゃんが
急に慌てだした・・・・
なんだろう?
翔ちゃんがくるりと後ろを向くと
何やらガサゴソしだした
ムウッ
どうにもとりつくことが出来ないって
諦めたのか、珍しく鼻の横を掻きながら
おもむろにポケットの中身を僕に差し出した
「何?これ」
「ん~~、あらたまって聞かれるとなぁ、はははッ」
今度はなんだか恥ずかしそうに天井を見る
翔ちゃんが差し出したそれは
サンゴ色のきれいな封筒
手に取ると少しゴワゴワする
和紙なのかな?
もう一度、翔ちゃんを見る
すると目の前に今度は
白い紙袋を持った翔ちゃんがいた
「・・・・あのさ、これも」
滅多に見れない真っ赤な顔をした
翔ちゃんがそこにいた
なんかこれって・・・・・
いつもと逆な感じ???
僕はいつからか
その他大勢の思いと一緒が嫌で
日にちをずらして渡していた
だからいつも僕の方が先で
翔ちゃんは後が多かった
なのに今年に限って、なんでって思いが強くて
半分惚けて紙袋を受け取っていた
相変わらず鼻の横を掻く翔ちゃん
落ち着かない時の癖
「翔ちゃん・・・・これどっちが先?」
サンゴ色の封筒と紙袋を翔ちゃんに見せる
翔ちゃんは、「出来たら・・・封筒の方から?」
そういうと
「お、俺、風呂入ってくるわ、」
と、そそくさ逃げて行った
サンゴ色のきれいな封筒
言われたとおりに封を切る
中には封筒より少し薄めの便せんが二枚
取り出して読むと翔ちゃんの文字が詰まっていた
初めてもらった手紙
これを何というのかわからなかった
お風呂から出てきた翔ちゃんは
僕を見るなり慌ててすっ飛んできた
サンゴ色の封筒とそれより少し薄い
便せんを胸に抱きしめて
ヒックヒック泣いている僕を見たから
これ読んで泣かない人っているんだろうか?
って、絶対に読ませないけど!!!!
僕だけのものだから
落ち着いた頃、翔ちゃんがそっと僕の肩を抱いて
こう言ったんだ
「・・・俺さ、初めて書いたんだよ。恋文」
「・・・・こいぶみ?」
「そう・・・恋文。あぁ、ラブレターともいう」
「らぶれたー・・・・・」
「伝えられない思いを手紙にしたためて相手に渡す」
「・・・伝えられない思い?」
「そう、伝えられない思い、俺は伝えたい思いをしたためた」
「翔ちゃん・・・・・」
「智、俺の思いは伝わっただろうか?」
少しだけ肩を抱く手が震えている
きっと一生懸命綴ってくれたんだ
僕への思いを・・・・
「うん・・・・伝わったよ」
今度は翔ちゃんの手に力がこもる
「返事・・・・聞かせてもらえるかな?」
返事って・・・・僕の返事は
決まってる
あの日からずっと決まっているのに
「翔ちゃん・・・・」
「ん?」
「先に着替えてきたら?風邪ひくよ?」
バスタオル一枚の翔ちゃんにそう言って
僕はアトリエに向かう
「智?」
少し不安げな声で僕を呼ぶ翔ちゃん
翔ちゃんはわかってないんだ
僕がどれだけ翔ちゃんを思っているのか
だからもうそんなこと思えないくらいにしてやるんだ
アトリエから一枚の画を持ってきた
僕の最初で最後の画
翔ちゃんが僕の欲しかった言葉を言ってくれたら
渡そうと思っていた画
着替え終わった翔ちゃんに渡す
翔ちゃんの顔がみるみる変わっていく
泣いているのか笑っているのかわかんないくらい
ぐしゃぐしゃになった翔ちゃんの顔
僕もつられて同じ顔になった
翔ちゃんにもらった白い紙袋
その中身を取り出して翔ちゃんの目の前に
付けてみせると
骨が折れるくらい思い切り抱きしめられた
マジで息が出来ない
でもいいや・・・それくらい嬉しかったから
前に薬指に着けた
サクランボの枝
やっと僕の指にたどり着いた
甘いブランデーの香りと
翔ちゃんの思いと共に
終わり
happy Valentine
💙❤️
恋文のイメージないかもだけど
愛が伝わっていたら幸せ!^_^
yayosatoさん素敵企画ありがとうございました
久々で誤字脱字そして構成不十分ではありますが
おおめにみていただけるとありがたいです。
また時間のある時に残りのお話も書けたらと
思っていますので今後ともどうぞよろしく
お願いします!
おおのさ〜ん
大好きで〜す

