「・・・松・・・潤、
なんでこんなことするの?」
今にも泣き出しそうな声で俺の名前を呼ぶ
俺は昔からこの人の涙に弱い
人前で滅多に泣かないくせに、なぜか
俺の前だと泣き虫になる
それこそ初めは俺にだけ特別なのかって
思ったものだが、違っていたんだ
気を許すとはまた違う
なんだろう・・・
ふっ、
いつまでたったって、俺は・・・
ガキ扱いってことなんだよな
身内感覚のくくりから外されない損な役回り
それでもいいと思った
この人の傍にいられるのならって
だけど、明らかに変わっていった空気を
実際目の当たりにしたら
無性に腹ただっしく思うようになって
泣かせたかったわけじゃないのに
つい意地悪したくなって。
翔さんにも、
踏み出す勇気がないのならって
いつでも奪いに行くって
宣戦布告してみたかったけど
俺、やっぱり
翔さんも好きなんだよね。
結局さ,そう言う役回りなんだって
ニノ見て気付くんだ
あいつも俺とおんなじだから
俺よりタチ悪いか?
天邪鬼だからな。
一歩づつ間合いを詰める
ポロポロ溢れる綺麗な雫
掬い上げたいけどそれは俺の役目じゃない
でも、来なかったら・・・
忙しなく鳴るインターホン
その向こうに側に覗く顔
決意を探るために
ゆっくりロックを解除した。
