前話

恋心vol23

 

 

 

閉ざされたエントランスを前に

荒く乱れた息を整える・・・

 

オートロック・・・

クソッ、

 

狂ったように

インターホンを連打する

 

 

開くはずなどないのに、それでも諦められるはずもなく

ぶち壊せるものなら今すぐにでも叩き壊すつもりで

大きく腕を振りかぶった。

拳が当たる寸前

静にそれは開いた・・・・

 

開くはずのない扉が

 

・・・・智くん

 

松・・潤

 

まだ開ききらない隙間を無理やり押し通る

エレベータのボタンを壊れるくらい押しまくった

 

周りの視線なんて考えている暇などない

降りる人波を無視して

そのままエレベーターに飛び乗ると

目的の階まで待てずに「開」ボタンに指をかける

(頼む、間に合ってくれ・・・・)

 

さっきの智くんの悲しそうな顔が脳裏をよぎる

何かを話そうとしたその言葉を

遮るのは、何時も・・・俺だった

 

いつも真っすぐに俺に向き合う智くんを

見ないようにしていたのは・・・俺だったんだ

 

 

 

 

扉が開く音がこだまする・・・