絵葉書が届いた
毎月の風物詩となったそれは
必ず3、15、25の消印で
届くようになっていた。
特に意味はないのだろうけれど
記念日マニアとしては嬉しいものだ
 
ほぼ、こじつけ記念日なのだが(苦笑)
 
今月の一枚は「サンセット」
 
奇麗な夕日をどんな顔して
見ているのだろう
隣でその表情が見れらなくて残念
 
 
皆で見たあの日から
月日はたち・・・
 
今のあなたの瞳に映るその景色を
猛烈に共有したいと思う自分がいる
 
身体がふたつあったなら・・・と、
何度思ったか知らない
 
 
部屋着に着替え
ロックグラスに酒を注ぐ
今日はバーボン
意外でしょ?
これでもグラスをフル活用しているんだよ
 
ひとくち口をつけようとしたところで
来客を告げるインターホンが鳴る
 
一瞬よぎる影はすぐに打ち消し
画面を見ればコンシェルジュが立っていた
要件を聞き届いた荷物を受け取る
どことなく異国の香りがした
 
「ココナツ?・・・なわけないか」
 
 
差出人は・・・
 
それを見たとたん
口に含んだバーボンが一気に喉を通過する
むせそうになりながら
 慌てて外装を剥ぐ


出てきたそれは
一冊の白い本の様なものと
添えられた二枚の絵葉書

パラパラとめくると
中は何も書かれていない
真っさらなページ







 絵葉書の一枚は俺



「ふふっ
あなた今どこにいるのよ?」


謎解きの様な時間が楽しくもあり
離れていてもこうして側にいると
思えるくらい
気にかけてくれている気持ちが
嬉しくもあり



今まで届いた絵葉書ををかき集め
送られた白い本をめくり丁寧に
置いてみる


絵心のない俺にもわかる
あなたからのメッセージ


届いたもう一枚を
俺の隣に置く



今まで多かった風景画と違う
あなたからの
強い想いを確かに受け取る







多分、俺が1番多いであろう
届いた絵葉書を
果たして持って行っていいものかどうか

もう1つ届いたメッセージを眺め
一人、ほくそ笑む俺がいた