初めて君を目にしたのは 

代弁を頼まれて

出席した小さな講堂だった

 

 寝息を立て

気持ち良さそうに

眠っている 君の寝顔が

印象的で思わず走らせたエンピツ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爽やかな風にのって

俺の心にやって来た君

 

 

 

次に見た時の君は

あまりにも

 つまらなそうにしていた

 

 

いつか笑顔にできたらいいなって

ずっと思っていた

 


 

 

 

研究室に戻って急いで仕上げた

画には、その時の君がそのままいた

 

それから始まった出口の見えない

俺の一方通行・・・

 

欲求は高まるばかりで

きっかけがなかなか

めぐってこなかった

 

ニノの知り合いと聞いて

これ幸いと

誘ってもらったものの

その様子からして

君に好意を寄せていることに

気づいた

 

だけど・・・引けなかった

 

 

BBQでもしも話せたのなら

と、賭けてみることにした

柄にもないと自分でも思うほど

なりふり構わず求めていた

そして君は俺を見つけた

 

正直、嬉かった・・・

 

 

だから、

あの日、その場の乗りで

君と一晩過ごしたわけではない

願わくば君と

どうにかなってしまえたら

そこから始まる関係もありかなと

暢気に構えていたが

 

思惑とは裏腹に

あまりにも真面目な君に

結局手を出すことができなかった

 

 

俺としたことが・・・

肝心な時に動けないなんて

笑い話にもならん

 

人に興味がないから

誰に何を言われても気にならなかった

ただ、君にはどこかで否定したかった

 

君は特別なんだって

 

 

ニノにそれを伝えた

物凄く怒鳴られた

言う相手が違うって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それもそうだと思った

だから、最後にきちんと

伝えようと思った

 

 

そんな俺を不憫に思ったのか

敵に塩を送るが如く

ニノが呟いた11桁の数字は

俺の携帯の一番最初に

記された

 

 

 

・・・明日日本を発つ

しばらく戻らない

 

 

好き・・・だよ翔くん

 

 

 

それだけ伝えて切った

 

 

 

言い逃げでゴメン

返事は流石に聞けない

俺にも怖いものが 

あったと知った

 

 

 

またチャンスがあるなら

きっと会える

 

 

それまで今以上の

いい男になっていてよ

俺もそれに負けないように

 

頑張ってみるから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゃぁね。

 

 

 

 

 

 

 

 

2018/10/02