あの日以来
翔ちゃんが大野さんと一緒にいると
必ずヤイノヤイノ聞いてくる、うるさい外野
大野さんはいたって無自覚で
基本自分の感情に真っすぐ
そのうえ思い立ったら即行動するから
始末に負えない。
翔ちゃんは
それに輪をかけて
大野さんを上回る無自覚ときたら
もう、ある意味最強コンビだよね
無自覚の種類が違うけど
あんまりウザいと
黙らせたくなる
俺、面倒なのきらいなんだよね
そんなことを思っていたら
ある時から
ぷっつり物見もうるさい外野も
来なくなった
静になったことは喜ばしいが
逆に・・・
うっとうしい顔になっていく
翔ちゃんが目障りになってきた
「・・・・なに?この世の終わりみたいな顔してんの?」
力なく俺を見上げるその目には
まるで覇気がなくて
死んだ魚みたいに充血して濁ってる(苦笑)
「あぁ・・・ゴメン、何でもない」
もともと、おしゃれとは程遠かったけれど
輪をかけてみすぼらしくなっていく
そこまで身なりに気が回らないほど
何か思い詰めてるのか?
なんて、血迷っても聞いてやんない(笑)
どうせ面倒なことに決まってるし
そうさせた相手も・・・わかるし
頭はいいかもしれないけれど
それ以外はほんと、無頓着で
ましてや、色恋なんてひょっとしたら
猿以下かもしれないし(笑)
悩むだけ悩めばいい
俺の思いだって気づかないくらい
鈍い頭で・・・
ほんと、やんなっちゃう・・・
どこがいいんだろうな
こんな奴の(苦笑)
近すぎて自分でも気づかなかった
感情をついこの間知った
知ったとたんに
守りに入る俺って
どんだけナルシストなんだか
それでも
ほっとけない・・・んだよね
なんか
「なぁ・・・カズ、」
「はい?」
「・・・・いや、やっぱいいや」
・・・・・これだよ、この目
そんな縋るような目で見られたら
どうにかしてあげたくなるじゃん
ボサボサでイケメン台無しの無精ひげまで
生やして、かっこ悪いったら・・・(苦笑)
「・・・・最近、大野さん来ませんね」
「・・・・・・・。」
「・・・あれ?地雷でも踏みました?(笑)」
「・・・・・・。カズ、」
「はい。」
それっきり、何も言わない翔ちゃん
何が聞きたいのかだいたいわかっている
でも・・・・何も聞いてこないから
俺も言わない
その先に何があるのかも
言わない・・・悔しいから