朝霧が陽を浴びて
煌めく
そんな季節に春風が吹くとき
決まってあの人の笑う声が
聞こえてくる
どこにいてもすぐにわかる
存在感が半端ない
そんなあの人を知っている人間は
たぶん数少ないだろう
いつまでも遠い背中が
憎らしいよ全く・・・
あとどれくらい
朝を迎えたら、あの人にこの思い
届くのかな・・・
あとどのくらい
夜を過ごしたら、あの人にそっと
触れられるのかな・・・
そんな自分の気持ちなんて
まったく気づくことなく
好き勝手なことばかり言う(苦笑)
いつまでたっても可愛いよ
・・・って
シャレにならないよ
あの人・・・・・
無防備すぎるから
純粋すぎて
隙だらけだから
守りたかった・・・
なにを言われても
反論すらしない
なにを聞いても
どこ吹く風
そんなスタンスに
いつからか憧れていたんだよね
強い男になるって決めた
泣き虫だったあの頃の自分は
もういない
そのはずだったんだけど
だけど・・・
守られていたのは自分
真綿のような
柔らかな空間から
いつの間にか抜け出せなくなっていた
スミレが似合う・・・
いつだったかあの人が
そんなことを言っていた
小さく健気に咲き誇る
儚い美しさと
・・・・比喩するんだ
何年たっても
スミレから変わることはない
いつしか
小さな紫の花を選んだ
その理由を確かめたいと思った
あの人の中での
スミレは・・・
どんな位置づけなのだろう
とか・・・
あの人に甘えている奴らより
近い距離に咲いているのか
とか・・・
ちゃっかり防衛線引かれていただけ
とは、
思いたくないからさ・・・
スミレ・・・って
きっとあの人だけが感じる
他には見せない自分が
見えているんだろうな
それはそれで・・・
嬉しいかもしれない
いつか・・・
聞いてみよう
春風が吹く前にでも・・・
ナゼ、スミレナンデスカ?
ってさ。


