この間・・・
自分の展示会場に久しぶりに出向いた
滅多にいかない場所。
・・・気が乗らないわけじゃない
その場の雰囲気を感じることは
大切なことだと思うから
でも大概行くのは初日と最終日が多い
時間がないわけではないのだが
どんなふうに見られているのか
不安と期待が入り混じって
正直、気が気じゃないんだ
今回も例外なくそうなるだろうと
思っていた
展示日前日と、初日と・・・
実際にその場所に行ったのは今のところ
その二日間だけ
テラス窓からちらりと覗く程度ではあったが
たくさんの人が足を運んで自分の作品を
見に来てくれている
それを目にした時の感動は・・・・
何とも言えないものなのだが
やはり、気恥ずかしい・・・
いつになっても慣れないでいる
展示が始まって数週間が過ぎた頃
会場の責任者から連絡をもらった
展示日の延長を知らせる連絡と
もう一つ、興味深い話があると言う
直接話をしたいから時間があるときでいい
会場に足を運んでほしいというものだった
電話の向こうで楽し気に話す責任者は
普段より少し声色が柔らかく感じた
・・・・・興味深い話?
いったい何のことだろう
重い腰を上げ展示場へと足を向けた
まだ色づき鮮やかな
銀杏や紅葉が金色に輝いて
街を彩る
この国に四季があってよかった
差し詰め夏が好きかな?
寒いのは苦手で・・・服も重くなるし
風呂が面倒になる
ひとしきり街並みを堪能しつつ
展示会場につくと責任者が手招きをしていた
丁度よかった、と
足早にある作品の前まで案内される
大パネルの自画像・・・
これが?どうかしたのかと
顔を見ると
一人の人を指さしていた
・・・・誰?
もう一度責任者の顔を覗くと
『・・・このところずっとあの作品の前で立ち止まっているんです』
「ずっと?」
『えぇ、ほぼ毎日です(笑)』
「・…毎日?」
その後ろ姿からはどんな人物かなんて
判別などつかないが、この時間にいるってことは
自営業か・・・営業マンか・・・フリーター?
・・・学生ってことはないか
でも、毎日・・・って
「ふふっ、物好きな方もいるんですね」
『もの好きかどうかはわかりませんよ?』
「えっ、なんで?」
『私もあの作品は・・・好きですから』
「・・・はぁ、そ、そうですか」
自画像・・・・褒められても
気恥ずかしいだけだって。。。
まいったなぁ
もういちどその背中をみつめた
微動だにせずじっと対話しているような
その雰囲気が・・・妙に気になって
それから、同じ時間になると
自然とその背中を探すのが
日課となっていた
出不精な自分の変化に
いささか戸惑いながらも
その時間が楽しいと
思うようになっていたのだから
驚きだ・・・
一期一会・・・か
いったいどんな人なんだろう
人に興味を持ったことなどここ数年
無かったことで
その理由が何なのか知りたいと
思うようになっていた
もしも、展示最後の日まで
その人がこのパネルの前にいたのなら
迷わず声をかけよう・・・
なんとなくそう心が決めていた
人は単純だ・・・
それだけで毎日が違って見えてくる
そんな感情がまだあったなんて
きっとこれが何なのか
会えばわかるのだろうな
その時が持ちどおしくもあり
寂しく感じるって・・・
矛盾しているな(苦笑)
そして迎えた最終日
この扉の向こうに答えが待っている
答えが・・・・・



