紅い蕾がほころぶころ

 

 

その梢にとまる小鳥

 

毎年飛来しては僕を見ている

そんな気がしていた

 

 

 

その色は

あざやかで

あでやかで

やわらかく

そしてすこしだけ

もの恋しい・・・

 

 

小首をせわしなく動かし

時折目が合うと

じっと僕の様子を伺う

 

 

必要以上寄ってこない

だけど気づけば常に近い距離にいて

ただ僕を見つめるだけ

 

 

 

あなたに重なる

 

触れてみたい・・・

無意識に

そっと手を伸ばしてた

 

 

 

 

次の瞬間

 

一瞬の羽ばたきに

静寂はかき消され

 

黒い影に連れ去られた

あっという間の出来事だった

 

僕はただそれを

眺めていることしかできなかった

 

来年もそこの梢にとまり

僕を見ていたはずの小鳥は

今この瞬間にいなくなってしまった

 

 

舞い散る羽根は

無情にも緩やかに

落ちていく

 

その色は

あざやかで

あでやかで

やわらかく

そして・・・・・

少しだけもの恋しい

 

 

 

 

モノコイシイ・・・・

 

 

 

僕が・・・・

あなたをを見つめるとき

どんなふうに映っているのだろう

 

 

一瞬でも早く触れていたら

黒い影から逃れられたかもしれない

 

 

いつまでもそこにあると

そう思っていた今は

約束されてはいない

当たり前の世界なんて

ないに等しい

 

あなたもこの小鳥のように

突然僕の前からいなくなったり

するのだろうか・・・

 

 

無性に逢いたくなった

手を伸ばせばすぐそこにいると

そう思っていたことが

そうじゃなくなる現実を

 

否定したくて

 

 


 

紅い蕾がほころぶころ

舞い落ちる羽根を見つめながら

今までと違う感情が

芽生えた瞬間だった