「さ・・・・智くん・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

珍しく翔くんが部屋に来た

 

少しだけ・・・いや、かなり緊張している(笑)

 

こんな時の翔くんには、つい、イジワルしたくなっちゃう。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・どうしたの?もしかして、もう無くなっちゃった?金平糖」

 

 

 

途端に真っ赤な牡丹が花開く

 

今の季節は、薄桃色の桜が似合いそうなものだけど

 

翔くんはいつでも真っ赤・・・・(笑)

 

きっと、どの季節が来ても真っ赤っか何だろうなぁ(笑)

 

 

「・・・・こんぺいとうは、、、、まだ、あるし。。////

 
 
 
消えそうな声でこそっとつぶやく(笑)
 
んふふっ、知ってるよ、
 
いつもポケットに入れて持ち歩いてること。
 
リビングで小瓶とにらめっこして
 
出したり・・・・
 
しまったり・・・・・(苦笑)
 
 
そんなのなくったって・・・・いつだって
 
と、思っているのはどうやら・・・・自分だけかも(苦笑)
 
翔くんは、きっかけがないと事を起こしずらいのかな?
 
それでもいいけど、、、、クスッ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「で、なにかあったの?」
 
 
本題に戻してみる
 
ドアに手をかけて何か言ってる翔くん・・・
 
ゆっくり振り向いてまだまだ真っ赤な牡丹を愛でる。。。
 
ふっくらな唇を尖らせてもごもご口が動き出した
 
 
「あの、、、あ、明日さ、仕事休みなんだけど・・・・・・」
 
「そうなんだ、じゃぁ朝起こさなくていいんだね!」
 
「うん、そう。・・・いや、そうじゃなくて!」
 
 
 
・…なんだか必死な顔が可愛い
 
 
「ん?なに違うの?」
 
 
ドアのところでモジモジし始める・・・・
 
本当に・・・
 
変わらないなぁ~
 
 
 
「さ、智くんは・・・・そのぉ仕事は?」
 
 
「あぁ、今は急ぎのものはないけど。。。。」
 
 
「けど?」
 
 
 
 
 
 
 
心配そうになにかを待っているそんな顔をも・・・
 
可愛いんだよなぁ
 
 
「ん~、夜までには仕上げたいものは、ある。かな?それだけ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
強張った顔の筋肉の
 
緩んだ音が聞えてきそうなくらい
 
くしゃくしゃに笑った顔が・・・・
 
もう・・・・
 
 
翔くん・・・・ずるいなぁ
 
 
 
「あのさ、明日なんだけど・・・・晴れたら、出かけよう!」
 
 
ん?・・・・・・晴れたら?
 
 
 
 
 
 
 
きっと、俺 今ものすごいムスッとした顔してる
 
晴れたらって、天気悪かったらどうすんだ?って
 
なるじゃん。。。。。。。
 
 
まぁ、そんなところも翔くんらしいんだけどね
 
 
「・・・・・・晴れたらね、、、」
 
「そう!!晴れたら出かけよう!!」
 
 
 
 
 
 
 
自信満々に、言えたって顔している(苦笑)
 
 
「・・・・いいね、久しぶりだよね?お出かけ」
 
 
 
「うぉ~!!・・・・・・・よかったぁ~、」
 
 
 
引力に逆らえない顔の筋肉はたれに垂れて
 
クリクリの瞳はまぶし気に俺を見つめる・・・・・
 
 
 
 
本当は予定なんて何もない
 
なにもないけれど
 
今晩あたり、散り桜でも眺めて翔くんと一杯飲みたいな
 
なんて、思っていた・・・でも、それは
 
明日の楽しみにしておこうかな
 
 
だってね・・・・翔くん
 
 
明日はね・・・・・
 
 
スマホで明日の天気を確認する
 
 
ふふははぁ、ほらね、やっぱり。。。
 
 
明日の降水確率
 
 
80%だってさ
 
クスクス・・・・
 
 
明日のがっかりした顔が目に浮かんじゃう
 
だからさ、今晩の晩酌?
 
明日に取っておくことにするよ(苦笑)
 
でも・・・・・どこに連れて行ってくれる気だったのかな?
 
興味はある!
 
雨でも曇りでも大雪だっていいんだけどね
 
翔くんがいればどこでも一緒
 
 
部屋の入り口で満足そうに微笑んでる翔くんを
 
中に招き入れてみる・・・・
 
 
 
 
 
 
 
みるみる元に戻っていく
 
きれいで真っ赤かな牡丹桜・・・・・・
 
 
いつかしなやかに
 
散らせてみたいな・・・・・・・
 
 
真っ赤なほっぺにそっと触れると
 
茹でだこみたいに余計赤くなった!
 
こそっと耳元で囁いてみる・・・・・
 
 
「翔くん・・・・・金平糖、持ってないの?
 
って、(笑)・・・・・・・・・
 
 
 
 
明日、晴れると・・・・・・いいな
 
 
 
 
 
 
言霊・・・・・
 
ただ声に出せないけれどね・・・・・
 
 
 
 
~花散る宵の出来事~