#nonsense(無意味)

 

 

 

 

堅く抱きしめられた腕が

わずかに震える

 

何に怯えているのだろう

まるで自分と同じ

 

あの時からずっと

変わらないでいたのは

俺だけじゃなかった?

 

 

 

 

 

 

 

あの日、俺はお前を抱いた・・・

 

一瞬、驚きを隠せないでいたその瞳に

色が灯るまでそう時間はかからなかった

 

 

 

他の誰かに触れられるくらいなら

俺が・・・・

 

抑えきれない想いは

堰を切り一気にお前に流れこむ

 

解すことなく

一方的に思いを遂げる俺に

苦痛に顔を歪めながらも

抗うことなくその身を委ねる

 

そこに言葉という「形」はいらなかった

繋がることがすべてだったから

 

一方通行でいい

出口なんか見つからなくていい

それで・・・・

終わるはずだった

 

 

誤算・・・

 

 

こんなに長く、その思いが消えないなんて

・・・・・思わなかった

 

直接触れることを放棄した俺に

繋ぎ止める理由などない

 

身勝手な俺の欲望だけが

先走った苦い過去

 

俺と違って

真っ直ぐに向かってくる

お前の想いがまぶしすぎて

 

 

それが怖くて

 

逃げたんだ・・・・・。

 

 

 

身体はその時の感触を覚えている

絶え間なく押し寄せる恍惚の

波に揺らめく感覚は

 

その一度きり

お前を抱いた

後にも先にもその一度きり

 

そのお前がいま目の前で

震えている

 

 

俺は・・・・何をしたかったのだろう

白い肌に代わりの花を咲かせてまで・・・・

 

 

 

時間は・・・・もとには戻せない

心も・・・・もとには

 

戻らない

 

お前も、俺も

代わりの白い肌を

知ってしまったから

 

 

分かっているんだ・・・・・

 

 

あの頃の俺はもういない

あの頃のお前ももういない

 

 

 

だから・・・・・交わることは

無意味なんだ

 

無意味なんだよ

 

 

抵抗しない俺に何か言いたげな

その瞳に・・・昔の情熱的な色は見えない

 

見えるのは・・・・

俺と同じ贖罪と後悔と・・・・・

動かない時間・・・・

 

止まったままのあの頃の二人

 

 

今その刻を動かそう

それですべてが明らかになるから

 

・・・・・・・・・・ショウ

 

 

 

 

 

 

 

それでも 

 飢えは消えない

 

俺がそうだったように

 

それでも刻を動かすか?

 

 

無意味だとわかっていても

 

 

 

 

 

一瞬緩んだ腕を振りほどき

 

自分よりも大きくなった身体を

 

押し倒すと

 

あの時と同じ瞳が

 

俺を見つめていた