#artifice(策略)
今はただ、
声が‥・聞きたかった
一人じゃないと思いたかった
どんな風に抱かれてきたのか確かめることなんて
都合のいい言い訳で
ただ、温もりが欲しいと思っていただけ?
その温もりを与えてくれるのは
誰でもいいと思っていた
どうせ・・・・一番欲しいそれは
手に入らないから
あの頃・・・
心が追いついていかなかった
年を重ねるごとにその違和感は消えることなく
日増しに大きくなって
ある時、言葉となって現実を突きつける
答えなんて求めて無かった
押し付けて自己満足で終わらせたかっただけ
まさか本気になるなんて思わなかった
怖かったんだ
その先に未来がないことに
それを受け入れられないで始めたら
失ってしまうかもしれない
それだけは嫌だった
結果・・・・そこに囚われているまま
自分だけが動けずにいる
白い肌が俺たちを繋ぐ
それだけでいい
それ以上は・・・いらない
指定されたホテルのルームナンバーを確認し
キーをさし込む
今夜は・・・・その白い肌だけを抱きしめよう
何も考えずにその白い肌に熱を預けよう
そこに何かが生まれるのも
悪くない・・・・
そう思うんだ・・・・・カズ
いつもより広い部屋からは
忘れられずにいた香りが
仄かに漂う
窓辺に佇むシルエットが
全てを物語る・・・・・・・
「・・・・・久し振り、」
・・・・・・なんで
お前がいない
白い肌の策略・・・

