何年でもここで俺の帰りを待つといってくれた
その言葉に後押しされお互いの心だけを頼りに
日本を立った
離れてみるといえなかった言葉が
次々溢れだし、あの人もまた同じように
俺に欲しい言葉をかけ続けてくれた
近くにいるときには気づかなかったものが
形となって現れる
それをあの人の待っている場所まで
届けられる日がようやく来る
明日になれば心も身体もやっと
抱きしめられると、今度こそ幸せにできると
あの頃の自分をそっと思い返していた
着陸のサインが出た
今日・・・・いや正確には今夜
俺はあなたに逢う
何年かかっても納得のいくまで・・・・・
あなたにふさわしい男になって
迎えに行きたかったから
最後に会ったのは・・・あの夏の終わり
夕暮れ時の少し肌寒いそんな日だったね
今でもあの日の愛の唄が耳に残っている
忘れない決して忘れないんだ
あなたは・・・・今も覚えているだろうか
あの日の出来事を・・・
心ばかりが逸る
あなたに逢いたい一心で
駆け出していた
甘い口づけ 遠い想い出
夢のあいだに 浮かべて泣こうか
忘れたままの 恋のささやき
今宵ひととき 探してみようか
恋のうたが誘いながら流れてくる
そっと眠りかけたラジオからの
さみしいそして悲しい
いっそやさしいセレナーデ
風の便りの とだえたわけを
誰に聞こうか それとも泣こうか
君のことを想うたびに聞こえてくる
そっと淡い恋がゆれるごとに
さみしいそして悲しい
いっそやさしいセレナーデ
手からカバンがすべり落ちる
見慣れたはずの屋敷の前で
立ち尽くす俺の目の前には
有刺鉄線の中で
あの愛の唄を紡いできた
あなたの大切な場所だけが
ひっそり残っているだけだった
クソッたれ・・・・・・
甘い口づけ
遠い想い出
夢のあいだに
浮かべて泣こうか


