甘い口づけ
遠い想い出
夢のあいだに
浮かべて泣こうか
「・・・・・・・また、一人だ」
力なく掠れる声でそう呟く
誰に聞かせているのだろう
「・・・・・・ずっと側にいろって言ったのに」
今にもあふれそうになる思いを
必死で耐えている悲しい声
ゆっくり振り返るあの人は
抑えていた思いがあふれ出て
綺麗な瞳からポロポロと珠のような泪をこぼす
ポロポロ・・・・ポロポロ・・・・
すがるような瞳が俺に訴えかける
抱きしめろって・・・・
一歩一歩近づきそっと手を添えると
フワリと俺のうでの中に沈みこむ
甘い香りに包まれて みる夢は ひと時の幻
胸にじんわり拡がる熱い感触は
俺の秘めた想いか・・・・
それとも この人のあふれ出た想いか・・・
あの旋律が頭の中で響いている
悲しくやさしいセレナーデ
俺だけが知っているその旋律は
この人の心そのものだから
震える肩をそっと抱きしめれば
堰を切って流れ出す誰かへの想い
慟哭は深い愛の証
ただ・・・・泪を掬うことしか出来ないでいた
それしか俺にはできない気がしたから
・・・・俺は月と太陽のもと
この人に寄り添い流れた泪を拾い集め
夢の合間に愛を語る
少しでも心穏やかで過ごせるように
それが俺なりのこの人への愛だと・・・・思ったから
