君のことを想うたびに聞こえてくる

そっと淡い恋がゆれるごとに

さみしいそして悲しい

いっそやさしいセレナーデ

 

 

 

 

それまでの生活が一変した

あの人の屋敷に通う毎日が楽しくて

つい、時間を忘れるほど

 

ただ・・・・土曜日を除いては

 

 

大事な約束があるといって

今まで一度だって行ったことがなかった

来るなといわれると行ってみたくなるのが

心情と言うもの・・・・

意を決して一度だけ黙って押しかけたことがあった

 

驚かそうと・・・・・庭先からこっそり近づく

 

 

庭の片隅に小さな庵があって

薄っすらと光が漏れていた

何気なく足が向かう

 

近くまで来ると微かにあの人の声がする

顔が綻ぶ・・・・・

思わず小走りになって窓から中を覗くと

 

あの人が・・・・・

誰かにその身を委ねていた

 

乱れて・・・・

 

絡まって・・・・

 

いつもの勝ち誇ったような

あの人はいなくて

 

そこにいるのは

見たこともない妖婦そのものだった

 

 

 

聞こえるはずの淫靡な音が

 

聞こえるはずのない嬌声が

 

聞こえるはずのない愛の言葉が

 

あの人の身体から溢れでていた

 

 

ずっと・・・・見つめていた

あの人が紡ぐ愛の歌を

いくら叫んでも伝わらないあの人の

愛の歌を・・・・